新興の技術とビジネスモデルが新たな環境の創出を促し、単発の請負という雇用形態がますます一般的になっている。一部の会社では短期プロジェクトに合わせて、正規の雇用契約を伴わない「単発の労働者」を雇うことが徐々に当たり前になっており、「ギグ・エコノミー」(インターネットを通じての単発請負型の非正規雇用形態を利用する経済)が機に乗じて誕生した。ギグ・エコノミーは労働者の権利を奪い安全感を失わせるものなのか、それとも不景気な雇用市場をにぎわす救世主なのか。世界経済フォーラムのニュー・チャンピオン年次総会2016(夏季ダボスフォーラム)で、複数の専門家がギグ・エコノミーの問題について語った。新華社が伝えた。
ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスのアルン・スンダララジャン教授は、「目下の経済状況は兼業方式での生き残りを可能にする。たとえば起業プラットフォームで兼業する、小規模な会社を起こしてアルバイトに励む、外部の仕事を請け負う、などだ。現在、ギグ・エコノミーに従事する人はフルタイム労働者より数は少ないが、労働の柔軟性と適応性を確保することのできるこうした雇用形態はますます一般的なものになり、無視できない流れになっている」と述べた。
世界経済フォーラム執行委員会のメンバーで雇用・ジェンダー平等の行動計画呼びかけの責任者を務めるサーディア・ザヒディさんのチームは、これまでに約120カ国で調査を行い、世界の労働力の13%が「ギグ・エコノミー」に従事し、50%がフルタイム労働であることを明らかにした。「ギグ・エコノミーの雇用の多くはネットを介して提供され、これまで仕事のなかった人やフルタイム労働から脱したいと考える人が、ますます多くギグ・エコノミーに足場を移すようになっている」という。
専門家によると、正規の雇用市場がギグ・エコノミーへ、フルタイムがパートタイムへと移り変わるのは、決して悪いことではなく、人材資源を有効に活用し、社会コストを引き下げることにつながるという。
ウーバーの例をみよう。ウーバー中国法人の責任者は、「ウーバーの運転手の70%は兼業で、この人達は柔軟性が高く、移動のラッシュ時には、フルタイムの運転手をよく補完しつつ、臨時収入も得ることができる」と話す。
だがいいことばかりではない。ギグ・エコノミーの従事者が大量に生まれることで、一連の産業では労働者の仕事に対する安全感が損なわれると同時に、「アルバイト」ではきちんとした労働契約が締結されないケースが多く、権利の保護にとってはマイナスだ。
スンダララジャン教授もザヒディさんも、人材資源市場におけるギグ・エコノミーの勃興を前にして、各国政府が一連の有効な行動を起こすべきとの見方を示す。具体的には、情報面での支援を提供し、より多くの人がギグ・エコノミーに参加できるようにするとともに、職業訓練や社会保障の面での支援を提供し、ギグ・エコノミーの従事者の合法的な権利を保障し、ギグ・エコノミーのメリットを享受する人を増やすことが必要だという。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年6月27日
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