北京市にある「潘家園」という骨董市場をご存じだろうか? おそらく、北京で学ぶ留学生たちはそれぞれお気に入りの場所があると思うが、私にとっては「潘家園」がまさにそれだ。昨年12月は週末になるとそこへ足を運んだ。私がこれほど「潘家園」に惹かれる理由は、いままで見たこともない物がそこにあるからではなく、以前に見たことがある物があるからだ。つまり、そこで売られている物に対して、多少なりとも知識を持っているからとも言えるだろう。こういう言い方をするとちょっとした自慢のようだが、その訳を是非ここで紹介したいと思う。(文:池田洋子・北京師範大学 国際在線掲載)
ある日、私は潘家園骨董市場で面白い「錠」を見つけた。普通の錠は、数字の暗証番号によって施錠・開錠ができる。だが、その錠の暗証番号は漢字7文字だった。しかも、その漢字7文字は、ある詩歌の一部分だった。私は思わずニヤニヤしてしまった。「この詩は高校時代に勉強したことがある!」-そう、李白の「白帝城」に出てくる「朝辞白帝彩雲間(早朝、朝焼け雲の下、白帝城を出発する)」の7文字だったのだ。私は錠を手にして、得意げに開錠した。その時、とても驚いた表情を見せた店主の顔を見て、私は内心「してやったり」と感じたのと同時に「もし中国人でも日本人でも、誰でも開錠できるなら、一体この錠の存在意義はあるのだろうか?」という疑問を持った。
中国での暮らしが長くなるにつれて、私は、中国人と日本人には、共通認識がとても多いと感じるようになった。たとえば私は、「論語」のなかのいくつかのフレーズを知っており、項羽と劉邦の物語を知っており、隋(581-618年)の次には唐(618-907年)の時代という歴史についても知っている。私はごく普通の看護師で、中国文化や歴史は専門ではないが、これらの基本的な知識は備えている。
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