6月13日、上海で「火花」の中国語版の翻訳者・毛丹青さんと対談する、又吉直樹さん。
「文学」と「お笑い」は通じるものがあり国境を超える
人を笑わすことが仕事のお笑い芸人であり、文字で人を感動させる文学作家でもある又吉さんは、この二つの仕事は密接に通じ合うものがあるとしている。
「夏目漱石や芥川龍之介などの作品を読むと、お笑いの要素がたくさんあることに気付かされる。文学にしても、お笑いにしても、言葉を使って表現し、何かの考えや感情の面で、読者や観衆と通じ合うことができる」。
又吉さんは、太宰治のファンであることで知られ、中学生の時に、代表作である「人間失格」を100回以上も読んだという。又吉さんの作品や人となりからも太宰治の影を見ることができる。「太宰治の小説をそのままコントなどにすることができる。彼の作品に登場する主人公の経験や体験、人への接し方、態度などは、太宰治のスタイルで、僕のスタイルにも影響を与えている。文学が僕自身の人への接し方や考え方を変えた」。
13日、又吉さんは「文学とお笑いは海を超える」と題する講演を行い、「今回上海に来て、読者や学生らに僕の考え方を話し、僕の作品に対する見方を聞くこともできた。その交流こそが『文学とお笑いは国境も海も超える』ことを示している」と語った。
「芸人をあきらめた人の罪悪感とは何か?」が「火花」のテーマ
「火花」の中国語版の発表会で、又吉さんは、「小説を書くことで、変な人を描きたいのではなく、人と人の関係を描きたかった。芸人の世界の先輩と後輩の関係はとても独特」と話した。
日本には芸人を育成する学校があり、東京や大阪の学校に毎年400-500人がやって来る。しかし、その中からテレビに出ることができるようになるのはほんの一握りで、才能があっても、続かない人もいるという。作品の中で、又吉さんは、「たくさんの人が夢を抱いて上京する。でも、スターになることができるのはわずか1%の人。また、売れた人だけが正しいというわけでもない」と書いている。
「最終的にあきらめてしまった人は、いい生活を送っていても、彼らと会った時には、背負っている恥ずかしさのようなものを感じる。その罪悪感はどこから来ているのかというのが、『火花』のテーマの一つ」。
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