東京都議選での惨敗後、安倍内閣支持率は下落し続け、最新の世論調査では29.9%にまで落ち込んで危険水域に入った。このままでは政権維持は困難だ。日本政治にとって支持率は生命線だ。これまで安倍氏が野党や党内のライバルを無視して、独断専行で右傾政策を推し進めることができたのは、高止まりの支持率のおかげだ。だが小池百合子都知事が突如現れて以来、安倍氏の独断専行と縁故採用に以前から不満を抱いた有権者は「代替品」を見つけ、「安倍一強」神話は崩壊に直面することとなった。この変化が今後日本の政治・外交の行方にどのような「ドミノ効果」を引き起こすのかが極めて注目される。(文:廉徳瑰・上海外国語大学日本文化経済学院教授。環球時報掲載)
第1に、国内政治再編の可能性。安倍首相就任以来、自民党はその指導の下4回続けて国政選挙で勝利した。これは安倍氏がこれまで「一強」を維持してきた重要な要因だ。だが東京都議選後、安倍氏を公然と批判する声が党内で上がり始めた。安倍氏は8月に予定する内閣改造で、党内の様々な人材を受け入れ、派閥均衡を維持せざるを得ず、安倍勢力は牽制されることになる。
また、来年の総裁選で安倍氏の「三選九年」の甘い夢が打ち砕かれる可能性もある。安倍氏の潜在的ライバルである岸田文雄氏と石破茂氏はともに、自民党は事態の厳しさを認めるべきだと表明。特に石破氏は、現在の自民党はすでに有権者の反感を招いていると指摘した。さらに意味深長なことに、安倍氏の政治的盟友で現副総理の麻生太郎氏も大変奇異な行動を示している。麻生氏は安倍氏への支持継続を表明する一方で、この肝心な時に新派閥を結成し、勢力を拡大して第2の派閥とした。再登板の準備を整えたかのようだ。
内閣人気の不振は、必然的に有権者の自民党支持率に影響を与える。現在の趨勢が来年の衆院選まで続いた場合、自民党は厳しい試練に直面する。
第2に、憲法改正プロセスへの影響。支持率低下が安倍氏の右傾政治理念への打撃となるのは必至だ。安倍氏はまだ改憲のトーンを下げていないが、実際にはすでに改憲のキーワードは「改」から「加」、すなわち加憲へと変わっている。安倍氏は自衛隊が違憲か否かという長年の議論に自らの代で終止符を打ちたいと思っている。
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