経済発展だけでなく、社会の医療水準も子どもをもとうとする意欲に影響を与える。ある国の医療衛生水準が低いと、人々は病気で早死にするかもしれないと考え、結婚や子づくりを急ぐようになり、若いうちにこうした人生の一大事を早々と決めるようになる。病気で苦しまない社会になると、女性はゆっくり結婚相手を選び、子どもを生む時期を遅らせるようになり、こうして出生数が低下していく。この背後にはリスクに直面した時には保守的な道を選びやすいという人類に共通の心情がある。
▽子どもを選ばなくなった日本の女性たち
日本の2016年の平均GDP(ドル建ての購買力平価)は約4万1469ドル(約465万1千円)で、世界25位だ。日本にの医療衛生水準は高く、新生児が5歳以下で死亡する割合は1千人あたり2人と少なく、アイスランド、フィンランド、ルクセンブルクに次ぐ低水準だ。
つまり日本は先進国の大きな流れに従って高齢化と少子化の社会に向かうしかないということだ。だが10年頃、英国と米国がまだ安定した成年型社会の段階にあった時に、日本で早々と老人型社会が出現したことは説明できない。
日本は高所得国の中で男女格差が最も目立つ国であり、女性が職業で発展することは難しい。「子どもを生むこと」は時限爆弾のようなもので、爆発すれば女性の職業上のキャリアを阻むリスクとして常につきまとう。
男性の就業者がどの年齢層でも安定した就業率を示すのと異なり、女性は25~30歳の出産年齢に就業率が目立って低下する。子どもを生むと仕事を失うことが多いため、仕事をもった女性の多くは子どもを生みたがらない。「自分の一日一日と発展する職業上のキャリアを葬り去るくらいなら、子どもを生むという時限爆弾をそもそもの初めからなくしてしまい、後顧の憂いを断ち切った方がよい」と考える人が多い。
ここ数年、日本経済は全体として低下しており、暮らしを維持するために働き始める女性が増えてきた。やっと見つけた仕事で自分の価値を見いだした女性に、結婚や子どものためにすべてをあきらめろというのは、おそらく簡単にできることではない。
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