張センター長は、「中米貿易の不均衡問題は両国の経済構造によって決定づけられるものであり、長年にわたるグローバル分業の結果でもあり、米国は成果を焦ってはならず、一晩ですべての問題が解決すると期待してはならない。解決には一定のプロセスをたどらなければならない」との見方を示す。
対外経済貿易大学の王直教授は、「中米貿易の数字の上での不均衡は表面的なことに過ぎない。グローバル産業バリューチェーンという観点からみると、利益の圧倒的部分は最終的に米国へ流れているのであり、米国の中国貿易に対する非難には根拠がない」と指摘する。
▽影響はどれくらいか?
米国が通商301条調査を発動すると、どの方面に、どれくらいの影響があるだろうか。中米貿易戦争を引き起こすのではないか。
王教授は、「調査の対象になる具体的な製品や調査の手段はまだ確定していない。しかも半年から1年間もかかるのが通例であり、影響の範囲については詳細な評価を待たなければならない。だが確かだと思われることは、調査対象製品が中米貿易全体に占める割合は限定的で、さらに両国の経済面での深い依存度を踏まえると、貿易戦争が勃発する可能性は低いといえる」と話す。
業界関係者の指摘によると、「中国に対し『通商301条調査』を発動してもプラスの結果にはならず、貿易制裁措置が発動されれば、米国企業の利益にも損害が出る」という。国際金融協会(IIF)はこのほど発表した報告の中で、「米国と中国の間で貿易戦争が起これば、中国企業の利益に損害を与えるだけでなく、川上のサプライヤーや川下の業者にも影響が出る。米国の小売業者の利益にも影響が出る」との見方を示した。
米国の行動は米国の消費者にメリットをもたらさない。米中ビジネス協議会(USBCB)が発表した報告書によれば、「中国の製品が米国に輸出されることで、米国の物価水準が1~1.5ポイント引き下げられている。2015年には、中米貿易のおかげで米国の一般世帯は年間850ドル(約9万2676円)の節約になった」という。
張センター長は、「米国が貿易戦争を発動すれば、グローバル貿易全体がマイナス影響を被ることになる。現在はグローバルバリューチェーンが協力し合う時代であり、1つの製品の原材料の調達や組み立てはさまざまな国で行われており、中国も多くの国から中間製品や原材料を輸入している。貿易戦争が発生すれば、こうした関連国も影響を受けることになる」と述べる。
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn