俳優・黄磊(ホアン・レイ)がマスター役を演じた中国版「深夜食堂」にブーイングが殺到しなければ、日本のドラマ版と映画版の「深夜食堂」は、元々目立たないほど落ち着いた雰囲気の作品なので、中国での大衆認知度も高くなかっただろう。中国版に対する視聴者のブーイングを調査してみると興味深いものが多い。SNS上での多くの人の「夜食」をめぐるやり取りを見ると、せつないエピソードが多く、そこには義理人情や悲しい人生の一幕が詰まっている。中国の人気料理ドキュメンタリー「舌で味わう中国」の総監督・陳暁卿氏は、トーク番組で、「中国人の夜食は、肉の串焼きや火鍋、ザリガニ料理など、味の濃いものばかり。食べ物の好みと社会次元での人々の集団感覚には、通じるものがある」と話した。つまり、中国人の味覚と感情志向は「コッテリ」ということになる。(文:杜慶春《北京電影学院教授》。文匯網掲載)
原作の「深夜食堂」は、日本の一般的な食習慣をベースにしており、あまりにも「あっさり」している。ネット上で、深夜食堂のドラマと劇場版2作は好評を博している。しかし、映画「続・深夜食堂」が7月に中国で公開されたものの、興行収入は全く伸びず公開初日は400万元(約6600万円)がやっとだった。一方、同日に公開された「悟空伝(Wukong) 」は4億元(約66億円)を突破した。「続・深夜食堂」は、その後も低調なまま上映され、現時点でも興行収入は1300万元(約2億1450億円)にとどまり、閑古鳥が鳴いている状態だ。ネット上で熱い議論がなされていたといっても、ネタ作りのためや議論を楽しんでいただけのものだったのだ。ネットユーザーは気分屋で、この「話題作」は、実際に上映されると、冷遇されるという現実に直面してしまった。
だからと言って、「続・深夜食堂」が評判倒れの作品というわけでは決してない。ほとんど人のいない映画館でこの作品を見た後、筆者は、その余韻がなかなか冷めなかった。同作品は、久しぶりに見た懐かしいにおいがする日本映画で、この種の日本映画を映画館で見ることができる機会は少ない。この映画を通して、筆者は、人のユーモア、細やかさ、ぬくもりを久しぶりに見ることができた。
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