スマホ市場が最近、活況を呈している。ファーウェイは独自にデザインした10nm人工知能(AI)チップ「Kirin 970」を発表した。小米科技の携帯電話はクアルコムの10nmプロセッサ「Snapdragon 835」を搭載し、iPhone Xは10nmプロセッサ「A11」を搭載し、公開された。業界内では、スマホが「10nmチップ」時代を迎えたとされている。世界チップ産業チェーンにおいて、中国はどのような強みを持つのだろうか、弱点はどこにあるのだろうか、いかに「強いチップの道」を歩むべきだろうか。新華社が伝えた。
◆世界トップのデザイン
中国は後発者だが、チップデザイン能力で先頭に立っている。これまでは米国のクアルコム、韓国のサムスンなどが長期的にリードを維持していた。最近はファーウェイの海思、清華集団の紫光展鋭、小米科技の松果などのリーディングカンパニーのけん引を受け、中国が全体的なチップデザイン能力で、世界の先頭集団に仲間入りした。
ファーウェイの「Kirin 970」は世界トップクラスのAIチップで、約1平方センチメートルの面積内に55億個のトランジスタを格納。小米科技の傘下企業の松果は今年2月に「澎湃S1」チップを発表し、チップデザイン技術を把握する世界でも少数の企業になった。
ファーウェイの楚慶副総裁は、「リーディングカンパニーがチップを自前でデザイン・研究開発することは、競争に勝つために重要だ」と述べた。小米科技の創業者である雷軍氏も、スマホ市場は最も過酷な淘汰の時期に入っており、最も重要なチップデザイン技術を把握しなければ生き残れないと考えている。
アップル、サムスン、マイクロソフトにチップデザインを提供してきた芯原控股有限公司の戴偉民董事長は、「国内リーディングカンパニーのチップデザイン技術は世界トップクラスで、業界の集約度が高まっている。中国はスマホ・ドローン・ウェアラブルデバイス・自動運転車など、各種スマート端末・設備向けのチップデザイン知的財産権を揃えている。基礎研究・開発への投資拡大により、チップデザインの実用化の効率がさらに向上する」と指摘した。
◆チップ製造の弱点
髪の毛の直径は約0.1ミリメートルだが、10nmはこの1万分の1だ。ハイエンドチップ製造をめぐり、各大企業は小型化技術のために苦心惨憺している。
10nmとは、チップの線幅を最小10nmにするということだ。こうすればチップ内にさらに多くのトランジスタを格納し、演算効率が高くなり、エネルギー消費量が少なくなる。
世界トップのチップ製造メーカーは現在、いずれも10nm量産時代に突入している。サムスン、インテル、台積電などは7nm以下の量産化に向け準備を開始している。中国大陸部のメーカーは28nmの量産段階に留まっており、14nmの量産化も推進中で、世界トップ水準と比べると大きな開きがある。これはファーウェイや小米科技などが独自にデザインする10nmチップが、依然として域外の企業に製造してもらう必要があることを意味する。
国家集積回路「大基金」の丁文武総裁は、「製造は中国チップ産業チェーンにおける最も弱い部分だ。これはまた『大基金』の主な投資先で、投資全体の6割以上を占めている」と述べた。
◆AIで「強いチップの道」を歩む
専門家は、「インターネットやモバイルネットワークの普及により、中国はAIやIoT(モノのインターネット)の研究開発と業界での応用で世界の先頭を走っており、これにより強いチップの道を歩むことができる」と指摘した。
七牛人工智能実験室の創業者である彭垚氏は、「AIの3大要素はアルゴリズム、データ、計算だ。アルゴリズムの開発で、中国は先進国と肩を並べている。データについては、中国のIT企業が大量のデータを蓄積している。今後は計算性能の向上により、AIチップの市場の需要を直接けん引することになる」と予想した。
IoTは、チップ全産業チェーンに直接利益をもたらす力強い駆動力だ。上海微技術工業研究院の楊瀟総裁は「センサーチップはIoTのスペックだ。IoT市場規模の拡大により、センサーチップの市場の需要が拡大する」と話した。(編集YF)
「人民網日本語版」2017年9月19日
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