中秋節(旧暦8月15日、今年は10月4日)が近づいてきた。中秋節の代表的食品である月餅が、各大型スーパー、ホテル、スイーツショップ、オンラインプラットフォームなどで販売されている。月餅は、「贈答用」と「自宅用」という2つの用途により分類される。このうち贈答用月餅は、今年新たな傾向を見せている。それは、「クロスボーダー」だ。もともと月餅とは縁のない企業、さらには食品業界ではない企業までもが、月餅の開発・製造に着手した。また、自宅用月餅市場では風味とコスパの追求がいっそう激しくなっている。原材料価格の上昇により、販売価格が約1割引き上げられた月餅もあるという。揚子晩報が伝えた。
〇故宮が売る「ロイヤル月餅」、ディズニーが売る「アニメ月餅」
今年の月餅市場では、他業界で我々がよく見知っている企業が進出してきており、「クロスボーダー月餅」がますます流行の波に乗るようになった。
あるネットユーザーは、「故宮まで月餅を売るのか?」と驚いて投稿した。
故宮は今年、公式フラッグショップで、「ロイヤル月餅」シリーズの贈答用月餅を売り始めた。このシリーズの贈答用ケースには、8種類16個の月餅が入っており、「祥雲」や「玉兎」などのスタイルによって故宮の特色が最大限に表現されている。正味重量は780グラム、販売価格は260元(1元は約16.9円)だ。
月餅市場に進出しているのは故宮だけではない。「ディズニーランド」も今年、ディズニークラシック贈答用月餅を売り出した。黒い贈答用ケースには、さまざまな形のディズニー名作アニメのキャラクターが印刷されている。ケースを開けると、ディズニーアニメのキャラクターが月餅の表面にも刻印されている。
星座漫画で有名になった「同道大叔」は、粽(ちまき)で有名な老舗「五芳斎」と提携し、若者をターゲットに「傾星物語」という商品名の星座月餅を売り出した。
このほか、動画共有サービス「ビリビリ(嗶哩嗶哩)動画」も月餅市場に参入した。同社はネットユーザーがアプリを使う際に、月餅の宣伝と優待券配布を行い、購入を促している。
〇ライバルが多すぎて、ホテルの月餅は販売不調
南京のスターランクホテルは毎年、販売価格200-500元の贈答用月餅を販売している。彼らの売る月餅は、すでに市民から十分に受け入れられている。一部ホテルの月餅は、中秋節用贈答品の基本仕様となった。だが、ホテルに限らず、多くの飲食企業も月餅の販売に乗り出している。
西貝蓧面村、桃園眷村、真功夫などの様々な有名飲食企業が、自社オリジナルの月餅を売り始め、商品企画から消費者層に至るまで、一定の基盤を形成している。
とはいえ、スターランクホテルと同様、ほぼ全ての飲食企業の月餅も、加工工場によるオーダーメイド生産で、決して自社工場で製造しているわけではない。
ブランド知名度に頼っての月餅販売は、利益増加につながると同時に、自社ブランドの宣伝にもなる。このことも、ホテルや飲食企業が月餅販売に対して力を入れ続ける一因となっており、生産ラインの従業員に任務として任せる原因にもなっている。
だが、多くの市民は、ホテルの月餅に対して、「値段は高いが、味は普通」という印象を抱いている。消費者の観点からすると、自分で購入して自分で食べる市民は極めて少ない。それがホテルの月餅ならなおさらだ。ほとんどの人が、贈答用に購入する。数年前から、各種焼き菓子の競争のあおりを受け、一部老舗ホテルの月餅の売上はやや落ち込む傾向が出てきている。
〇今年の月餅、遅い購入ほど価格上昇
月餅の購入は、往々にして、中秋節が近づけば近づくほど、割引率が大きくなって安く購入できる。だが今年に限っていえば、一部の月餅で「通常ではありえない現象」が起こっている。それは、購入予約が早ければ早いほど、割引率が高いというものだ。
先述した故宮月餅は、9月6日までの購入ならば割引価格234元が適用されたが、この日を過ぎてから、通常価格260元に戻った。
南京の某ケーキショップ店主は2日前、「月餅特価の最終日。明日からは188元が228元になる」と、微信(Wechat)の「モーメンツ」に投稿した。値上げの理由について、この店主は、「贈答用月餅は完売してしまい、月餅の原材料メーカーも生産を終わっているため、予約はもう受け付けない」と説明した。
卵・砂糖・ハスの種・ゴマなどの原料価格が今年値上げされ、上昇幅が特に高かったのは、月餅づくりの職人の人件費だった。これらの原因によって、月餅コストが昨年に比べ上昇したが、販売価格はそれほど大きく変わっていない。複数の大型スーパーでは、贈答用月餅も中・低価格のものが中心で、その多くが200元以下だった。実店舗と顧客争奪戦を繰り広げるため、オンラインショップは販売価格をさらに低く抑え、販促活動を早めにスタートしており、特売の贈答用月餅が19.9元という低価格で売り出されているショップもあった。(編集KM)
「人民網日本語版」2017年9月20日
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