紙おむつの購入は新米ママたちにとって難題の1つ。どのブランドにするか、どうやって買うかなど、様々な盲点や誤解が存在する。データによると、中国では毎年300億枚以上の紙おむつが購入されており、そのうち中国ブランドが占める割合はたったの3割ほど。様々なブランドがひしめく市場でどのように紙おむつを選ぶのか。そして、中国ブランドの紙おむつはどうして中国の赤ちゃんたちに使ってもらえないのだろうか。新華社が伝えた。
紙おむつ1枚に存在する多くの問題
紙おむつに関する「争い」は赤ちゃんがいるほとんどの家庭で起こるもののようだ。中国造紙協会生活用紙専門委員会の江曼霞秘書長は、「それぞれの考えの違いだけでなく、市場の混乱が誤解を引き起こしている一面もある。ヨーロッパや日本などでは、すでに40年以上にわたり紙おむつが使用されてきており、科学的な論証もその理念も普及している。一方、中国ではまだこうした概念が形成されていない上、収入や環境の違いから認識に差が生じている」とした。
中国の1、2線都市では約7割の赤ちゃんが紙おむつを使用しているが、3、4線都市や農村などではその割合はぐっと低くなる。しかも紙おむつの消費量は約349億枚に達し、2千以上のブランドが存在する。そしてそのブランドの多くは表示や生産地、商品説明における区別が困難となっている。
江氏は一部の広告は消費者が選択する際に障害になっていると指摘し、「例えば、あるメーカーは水を紙おむつに流しいれ、その吸収性でおむつの良し悪しを判断してみせているが、紙おむつを選ぶポイントは吸収性だけではない」と指摘する。
また、紙おむつ業界への参入は、そのハードルが比較的低いため、小規模企業が数多く混在している。紙おむつ業界のある人物は、「数十万元の投資で始められる上、一部の『微商(微信を利用して販売や宣伝を行う電子商取引)』は直接工場と取引しているケースもある」と話す。
江氏は、「中国はすでに紙おむつの国家基準システムを構築済みで、企業の生産から業界秩序の厳格なサンプル調査や覆面調査も行っている。しかし大手ブランドは把握しやすいものの、小規模企業の把握は困難を極めている」としている。
紙おむつ業界も海外ブランドが人気?
中国ブランドの紙おむつの市場シェアはわずか33%となっており、約7割が海外ブランドとなっている。米大手消費財メーカー「P&G」はその中でも約28%の市場シェアを占める一方で、中国ブランドトップの「恒安」のシェアは10%に満たない。先月行われた中国最大のショッピングイベント「ダブル11」(11月11日)では、「花王」や「ユニ・チャーム」といった海外ブランドの紙おむつが、海外ネット通販のトップを占めていた。
吉林省長春市に住む2児の母は、「長女が生まれた時は日本製の紙おむつを選び、長男が生まれたときは、ヨーロッパのブランドを選んだ」と話す。ここ数年、彼女が紙おむつの購入のために海外ネット通販で消費した金額は2万元以上にものぼるという。
雲南省昆明市に住む生後10ヶ月の男の子の母・楊林芬さんは、「金銭的に余裕があれば、海外ブランドを優先している。その方が安心できるから」と話す。
中国ブランドと海外ブランドの紙おむつにはどのような違いがあるのかという点について、中国産業用紡織品協会の鄭俊林副会長は、「材料やデザイン、生産技術といったほとんどの面で、中国と海外のブランドに大きな差はない。有名な海外ブランドもほとんどが中国の工場で作られている。しかも多くの海外ブランドの材料は中国企業が供給している」とした。
しかし製造設備や工業システム、抗菌滅菌効果の面では中国の製品は日本やヨーロッパのブランドと比べると開きがある。江氏は、「中国製品の安定性はまだ『花王』の水準には達していない。これは、製造における管理システムや技術システムの総合的なレベルの向上が必要だということを意味している。中国企業は中小企業がほとんどで、研究開発に限りがあるため、ブランディングや市場拡大という意識の強化も必要」と指摘した。
データによると、現在中国の紙おむつの1人あたりの消費量は日本のおよそ3割しかなく、2017年の市場規模は400億元を上回るとみられている。そして、2人っ子政策による「2人っ子時代」の影響を受け、今後5年間の消費量は、毎年10%以上の増加率を維持していくとみられているため、こうした百億元規模の市場において、中国ブランドはどのように力を発揮していくべきなのかという問題に直面しなければならない。
そのコアとなるのは、やはり製品の品質向上と付加価値を高めることだ。江氏は、「ヨーロッパや日本は高齢化社会を迎え、国内での需要が減少傾向にあるため、中国市場をターゲットとして、より高級で差別化できる商品を売り込んできている。中国ブランドの発展には、消費のアップグレードのチャンスをつかみ、製品品質の向上と、中・高級品分野への拡大が必要となる」とした。(編集TK)
「人民網日本語版」2017年12月8日
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