米国のトランプ大統領は就任するとすぐに、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」、国連教育科学文化機関(ユネスコ)から離脱し、米国ファーストを強調して、孤立主義を色濃くしている。しかし、米国の株市場では株価上昇が続いており、米国経済が継続的に回復しているほか、多くの投資家が、米国で今回可決された税制改革法案を買い材料と見ていることが分かる。経済参考報が報じた。(文:劉洪)
表面的に見ると、過去31年間で最大規模となる今回の税制改革では、法人税率が35%から20%へと大幅に引き下げられ、企業に対して海外に留保してきた利益を米国に還流するよう奨励する。また、中産階級の負担を減らすために、各税金の基準の控除額がほぼ2倍になっている。
これらの政策は大きな論議も呼んでいる。米国では、トランプ大統領はやりたい放題で、米国の税収が激減して、最終的には収束が難しい債務危機が起きるのではと懸念する声や、トランプ大統領は無責任で、世界中で減税戦を引き起こしていると批判する声も上がっている。
しかし、トランプ大統領の税制改革に肯定的な見方を示す人も多く、「米国経済の再建を大きく促し、少なくとも短期的には経済発展を促進する可能性が大きく、より多くの税収を得ることにつながる」と見ている。世界にとっては、トランプ大統領の減税法案は、懸念材料であるものの、チャンスでもあり、対応を間違えると、危機的な結果になりかねない。
まず、資本の流出を刺激する可能性がある。これまでは法人税率が35%であったため、多くの米国企業が利益を海外で貯めていた。しかし、トランプ大統領が大幅な減税政策を実施すると、ドルが米国へと還流する可能性が高い。アップル社のクック最高経営責任者(CEO)は、「米国の税率が下がれば、当社の海外で貯蓄している資金をすぐに米国に戻す」との見方を公にしている。
また、減税により、米国経済をも刺激するのは確実で、連邦準備制度(FRS)が金利を上げるよう促進するため、ドルの還流が一層促されることになるだろう。それにより、他の国の資本は流失し、資本の流出が原因で経済危機となり、社会の危機、政治危機へと発展していく国さえ出てくる可能性がある。
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