上海協力機構の三本柱

上海協力機構（SCO）青島サミットが間もなく開催される。SCOは加盟国拡大後、新たなチャンスを迎えている。（文：邢広程・中国社会科学院中国辺境研究所所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載）

SCOは新しいタイプの総合的な地域国際機構であり、過去10数年間の実践を経て、すでに独自性を形成するにいたった。SCOのたゆまぬ発展・強大化を支える重要な柱として、安全保障協力、地域経済協力、人的・文化的協力が挙げられる。

■安全保障協力

このうち「3つの勢力」（極端な宗教勢力、民族分裂勢力、テロ勢力）に反対することは、各加盟国の重要な戦略的共通認識だ。2001年の上海サミットで署名した「テロリズム、分裂主義、極端主義に打撃を与える上海条約」から2017年のアスタナサミットで署名した「上海協力機構反極端主義条約」まで、SCOは「3つの勢力」に打撃を与えることを旨とする一連の法的文書に調印し、整った体系を形成して、「3つの勢力」に加盟国が共同で打撃を与えるための堅実な法的基礎を築いてきた。SCOは地域対テロ演習も繰り返し実施して、「3つの勢力」を震え上がらせてきた。このため、SCOは地域の安全・安定を維持する重要なパワーだ。

■地域経済協力

国際情勢の新たな変化と試練を前に、SCOは自らの経済建設を強化し、経済のグローバル化を積極的に後押しし、反グローバル化思想に反対し、保護貿易に反対し、貿易障壁を取り除き、国際協力を広範に展開し、開放型世界経済の構築に貢献し、多角的貿易体制を維持している。SCOはさらに地域の貿易・投資の円滑化を推し進め、地域経済協力の発展にプラスの環境を築き、地域の製品・資本・サービス・技術の自由な流通を実現し、自国の貿易製品構造の多様化を推し進める。また、SCOは「上海協力機構加盟国多角的経済貿易協力綱要」に基づき、具体的協力事業の実施に力を集中し、「『上海協力機構の2025年までの発展戦略』行動計画2016ー2020」と「上海協力機構の事業協力を一層推進する措置リスト」などをしっかりと実行に移していく。

■人的・文化的協力

SCO各加盟国は衛生、科学技術、文化、観光、教育、環境保護分野で緊密に協力している。住民の医療及び健康、衛生及び防疫の確保、感染症対策などの分野で緊密に協力している。2007年調印の「上海協力機構加盟国政府間文化協力協定」は各加盟国間の人的・文化的協力の強化を推進する役割を果たしてきた。SCOの枠組での文化交流は各国民間の相互理解を深め続け、文化の多様性の保護と奨励の面で多くの努力をし、「上海精神」を完全に体現してきた。SCO各国は人的・文化分野で様々な形の協力も実施してきた。文化年、言語年、観光年、芸術祭の相互開催、国際博覧会の開催などだ。中国はSCO各加盟国との間で緊密な双方向人的・文化的協力を実施している。例えばロシアやカザフスタンとは教育分野で協力を行い、教師教育連盟などを新設した。観光協力は人的・文化的協力の重点だ。中国人のロシア観光熱は高まり続け、2017年の年間訪露観光客数は24％増加した。SCO各加盟国はいずれも古代シルクロード沿いの重要な国々だ。これらの国々は共同で歴史文献資料を発掘し、シルクロードに沿った文化及び自然遺産を研究し、保護することができる。

青島サミットが安全保障、経済、人的・文化の三大分野で踏み込んだ協力を一層繰り広げ、一層成果に富む協力の新たなビジョンを描いて、地域の安全・安定・発展維持に一層の貢献をすることを期待するだけの理由がわれわれにはある。（編集NA）

「人民網日本語版」2018年6月8日