江蘇省南京でこのほど行われたバドミントン世界選手権は、バトミントン界の勢力図が変わるターニングポイントとなったと言えるかもしれない。日本勢が男子シングルと女子ダブルスで金メダルを獲得した一方、調子が上がらなかった中国勢は、男子ダブルスとミックスダブルスで金メダルを獲得した。近年、大混戦という様相を見せている世界のバトミントン界で、日本勢が驚異的な台頭を見せており、東京五輪では中国と日本が金メダルの争奪戦を繰り広げることになるかもしれない。新華社が報じた。
桃田選手率いる日本チームが台頭
今回の世界選手権で、日本勢は歴史をいくつも塗り替えた。これまで、日本にとって男子シングルと男子ダブルスは常に苦手な種目であったが、今回は桃田賢斗選手が男子シングル決勝で中国の石宇奇選手をくだし、日本男子シングル初となる金メダルを獲得した。また、男子ダブルスでも、嘉村健士/園田啓悟組が決勝戦に進んだ。同組は中国の李俊慧/劉雨辰組に負けはしたものの、同種目で日本が決勝戦に進んだのは初めてのことだった。さらに、日本の女子ダブルスが金銀銅を独占。女子シングルの奥原希望選手は前回金メダルを獲得しており、山口茜選手は今回、銀メダルだった。
最終的に、日本勢は金メダル2個(男子シングル・女子ダブルス)、銀メダル2個(女子ダブルス・男子ダブルス)、銅メダル2個(女子ダブルス・女子シングル)と、メダル計 6個を獲得し、金メダル2個(男子ダブルス・ミックスダブルス)、銀メダル2個(男子シングル・ミックスダブルス)、銅メダル4個(男子シングル・女子シングル、男子ダブルス、ミックスダブルス)と計8個のメダルを獲得した中国勢に次ぐ成績だった。
今年1月から7月にかけての世界バドミントン連盟(BWF)のワールドツアーレベル1-4の大会で、日本勢は安定した戦いを見せ、11個の金メダルを獲得し、インドネシアと並んでトップとなっている。6月のユーバー杯では、日本男子は決勝で中国に惜しくも敗れたものの、女子は金メダルを獲得した。
バトミントン界は現在、群雄が競い合う様相を呈しており、中国の独壇場であった時代はすでに過ぎ去り、ライバルは日本勢だけとは限らない。しかし東京五輪では、ホームグラウンドで戦える日本勢が実力をいかんなく発揮することは間違いなく、中国は今後、日本を研究して攻略することが主なポイントになるとみられている。
中国勢には希望の光も
現在、ベテラン選手と若手選手の入れ替えの時期に差し掛かっている中国は、ロンドン五輪の時のような圧倒的な強さを見せることができなくなっている。今年1月から7月にかけてのBWFのワールドツアーレベル1-4の大会で、中国勢で金メダルを取ったのは男子シングルの石宇奇選手と、ミックスダブルスの鄭思維/黄雅瓊組だけだ。
今回の世界選手権はホームグラウンドでの戦いであり、中国には希望が見えた大会となった。22歳の石選手は、林丹選手、周天成選手、諶龍選手を次々に敗って決勝に進出。決勝では、桃田選手にほとんど歯が立たなかったものの、石選手にとって銀メダルを獲得したこと自体、大健闘したと言える。21歳の何氷嬌選手は、準々決勝で下馬評を覆して優勝候補である台湾地区の戴資穎選手を敗り、低迷状態にあった中国女子シングルのカンフル剤となった。さらにはシングル戦に出場した中国の他の選手も実力通りの戦いを見せた。
ダブルス3種目を見ると、中国勢には安心材料も不安材料もみられた。最も高い実力を誇るミックスダブルスでは3組がベスト4入りを果たし、男子ダブルスにも2組がベスト4に進んだ。しかし、女子ダブルスで中国勢は1組も準々決勝に進めず、過去35年間で最低の成績となってしまった。
かつて女子ダブルスは中国勢が最も安定した戦いを見せていた種目だった。1992年以降、五輪では毎回決勝に進み、96年以降は同種目の金メダルを独占してきた。しかし、2016年のリオデジャネイロ五輪ではメダルを逃し、今回の世界選手権ではとうとう14連覇の記録にもピリオドを打つ結果となってしまった。
混戦の時代、前進しなければ脱落あるのみ
女子ダブルス世界ランク1位の陳清晨/賈一凡組が語ったように、スポーツというのは自分が上達している時には、他の選手もまた上達しているため、試合は常に僅差の戦いとなる。
近年、選手の入れ替わりが進むにつれ、世界のバトミントン界の勢力図が急速に変化しており、一流選手同士の差は「僅差」となっており、圧倒的な強さを見せるチームや選手はいなくなりつつある。
今回の世界選手権で中国はまずまずの戦いを見せたものの、輝かしい成績をあげてきた過去と比べると、今後は苦戦が予想され、叱責を受けることもあるかもしれない。群雄が競い合う様相を呈している現在、真っ向から挑戦し、勇気をもって前進しない限り、勝ち抜いていくことはできないだろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年8月7日
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