王毅国務委員兼外交部長(外相)は2日、シンガポールで中国ASEAN外相会議に出席した。シンガポール外相は同日、中国とASEANが「南中国海における行動規範(COC)」協議のたたき台となる文書を1本化して取りまとめたことを発表した。これはCOC協議にとって新たな重大な進展であり、一里塚的意義を持つ。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
中国とASEANが2013年9月にCOC協議を正式に開始して以来、各国は良好な勢いを保ってきた。その後、中国とASEANは「重要、複雑な問題のリスト」と「COC枠組要素リスト」の両共通認識文書を採択し、2017年5月にはCOCの枠組で合意した。今年はCOC条文協議の始まる年であり、中国とASEANは「南中国海における関係国の行動宣言(DOC)」実行高官会議を1回、作業部会会合を2回行い、COCの形式、協議方式、協議の道筋について少なからぬ共通認識にいたり、協議のたたき台となる文書を1本化して取りまとめた。
COCの成果はようやく得られたものであり、地域の国々が共同で守る必要がある。COC協議のたゆまぬ進展は、地域の国々の建設的な協議姿勢と一致協力して地域のルールを構築する真摯な意向を明示するものだ。地域の国々は、南中国海情勢の全体的な安定維持が各国の利益にかない、COC協議が地域の国々の相互信頼の強化と共通認識の形成にプラスであり、南中国海の平和・安定を揺るぎないものにすることを目の当たりにしている。
COC協議の勢いが弱まらないことは、域外勢力による撹乱の企てに対する有力な反撃でもある。南中国海情勢は安定し、好転しているのに、特定の域外国はこれを快く思っていない。世論面では、西側メディアは魂胆を抱いて南中国海の「軍事化」を誇大宣伝し、雑音を鳴らし、中国と争いを抱える国との交渉を妨害し、中国とASEANとの協議を妨害するのに慣れている。行動面では、特定の域外国はいわゆる「航行の自由作戦」を強化し、さらには仲間を抱き込んで合同巡航を行おうとすらしている。域外勢力の様々な言行が、南中国海の平和・安定と地域のルール制定に悪影響を与えるのは必至だ。試練を前に、中国とASEANが力を合わせてCOC協議を行うことは、こうした外来の妨害を排除するうえでプラスだ。
COC協議にともない、中国は南中国海での公共財の提供に尽力している。海洋協力はASEANが客観的に必要としていることであり、各国は南中国海をめぐる争いが地域協力の障害とならないようにすべきだ。すでに中国は数日前、最先端の海洋救助船を南沙(英語名スプラトリー)諸島での待機任務に派遣した。これにより、各国の船舶が必要とする際、直ちに海事救助を行うことができる。今後も中国は続々と地域の国々に科学研究や気象など国際公益サービスを提供する。中国には海洋実務協力を推進して周辺国に恩恵を及ぼす誠意と能力がある。
中国は各国がCOC協議に対して客観的で冷静な態度を保つことを希望する。COC協議のたたき台となる文書を1本化して取りまとめたことは、COC協議における重大な進展だ。だが、後続の取り組みはなお複雑な試練を抱えており、たゆまぬ努力を堅持すると同時に、「急いては事を仕損じる」を避ける必要がある。相互尊重を堅持し、協議による一致を踏まえて合意に達する必要がある。また、地域の国々の努力は尊重されるべきであり、破壊者は歓迎されない。中国とASEANは建設的協議によって地域のルール構築に尽力する。
COC協議のたたき台となる文書を1本化して取りまとめたことは、中国とASEANが向き合って進んだことの成果だ。これを基礎に、中国は各国に対して、外来の妨害を排除し、COC協議の推進加速を実現するよう呼びかける。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年8月3日
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