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莫高窟で壁画の模写を続ける中日カップル 海外での展示を目標に

人民網日本語版 2018年08月15日13:28

仕事中、竇さんと饗場さんはアトリエで時々アドバイスし合う。画像は夫の絵にアドバイスをする饗場さん 。

8月初めのある日、甘粛省敦煌市の仏教遺跡・莫高窟にある絵筆や絵の具、壁画の模写が積み上げられたアトリエでは、竇偉さん(36)と、その妻である日本人の饗場悦子さん(36)が時々アドバイスをし合いながらも、それぞれの作品を仕上げるため忙しく筆を動かしていた。中国新聞網が報じた。

1年前、北京の中央美術学院で共に美術を専門に学んだ竇さんと饗場さんは、敦煌研究院美術研究所に招かれて莫高窟壁画の模写、創作、研究などの仕事に携わるようになった。

饗場さんは流暢な中国語で、「敦煌の壁画は、日本の美術の根源で、莫高窟は日本でもとても有名。多くの日本人が憧れている場所だ。日本の顔彩画の専門的な技法は中国から伝わったもので、莫高窟の壁画を初めて見学した時に、日本の楽器やお寺などに似た絵がたくさんあった。それを見て、過去にタイムスリップしたような気分になり、昔の日本人が中国に来て学んだ後、それを日本に持ち帰って伝えた過程を見ることができた。とても興奮すると同時に、親しみを感じた」と話した。

アトリエで莫高窟の壁画を模写する饗場さん(撮影・楊艷敏) 。

初めて敦煌に来た時、饗場さんは広大な砂漠と大空が連なる壮大な景色に魅了された。その後の彼女の絵画作品からは、砂漠の要素を随所に見ることができる。日本では決して目にすることのない風景が広がる敦煌は彼女のインスピレーションを大いに刺激するのだという。しかしこの地での生活は決して便利とは言えないという。

「敦煌では日本の食材が買えないし、中国の食べ物は私にとっては辛い。それに、ここはとても乾燥している」と饗場さん。「両親の励ましと一緒にいてくれる夫、敦煌研究院の上司、同僚らの気遣いで、少しずつ慣れてきた。今では、敦煌にも友達がおり、中国語で交流ができるようになっただけでなく、オンラインショッピングもできるようになった」という。

中央美術学院のクラスメイトだった竇さんと饗場さんは2007年に出会ってから、少しずつ愛を育み、カップルとなった。その後、竇さんは東京芸術大学で、顔彩画を専門に学んで修士学位を取得し、そしてその在学中に、敦煌研究院の訪日交流団と偶然出会ったのだという。

竇さんは、「あんなに敦煌の莫高窟に行きたいと渇望したことはなかった。絵を描く人々にとって、莫高窟を訪れないのは、一生後悔するようなこと」と語り、「日本に留学している時に顔彩画を学んだ。顔彩画における鉱物を原料とした顔彩を使う技法は、盛唐の時代に中国から日本に伝えられたものだ」と説明する。

その後、敦煌研究院の王旭東院長やその他の研究員たちと交流する過程で、竇さんは敦煌の壁画に使われている画材について一層理解を深めるようになり、知れば知るほど、敦煌と莫高窟に対する興味も膨らんでいったという。

昨年、竇さんは初めて莫高窟を見学して、壁画を自分の目で見て、「とても神秘的で、敦煌の壁画の絵画技法や伝統工芸に驚嘆させられた」のと同時に、「でも、そのとても貴重な文化遺産が、たくさんの自然や人為的な要素が原因で損傷している状態を目にして、とても悲しい気持ちにもなった」という。

そして、「もし、壁画の研究をさらに深め、壁画の材料を保存し、後世に伝えていくことができれば一番理想的。今後は妻や美術所の同僚と共に、模写を基礎に、自分たちの思想を作品に盛り込み、『敦煌文化』を発揚し、一部の移動可能な壁画模写品をまとめて海外で展示したい」と語った。(編集KN)

「人民網日本語版」2018年8月15日

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