中国の青少年や学生の体質が悪化の一途を辿っていることは、近年、社会から大きな関心を集めている。だが、まだ十分に重視されていない問題も、次第に顕著化してきている。その問題とは、就学前の幼児(3歳~6歳)の体質も、決して楽観視が許されない状況にあることだ。業界関係者は、「国家関連部門が、幼児の体質悪化という問題に介入することに、もはや一刻の猶予も許されない」と警鐘を鳴らしている。中国青年報が伝えた。
首都体育学院の王凱珍・副院長は、「北方の某地域で行われた調査によると、現地の3歳から6歳の幼児の肥満率と標準体重超過率は、すでに30%を上回った。また、全国的な状況を見ても、中国の3歳から6歳の幼児の肥満率・標準体重超過率は、世界で最も深刻な国家のひとつとなっている」と指摘した。
中国教育部(省)が2012年に公に発表した「3-6歳児童の学習・発展ガイドブック」によると、3歳から6歳までの幼児は、毎日2時間以上のスポーツ、このうち1時間は一定の強度を備えた屋外活動を行うべきとしている。だが、「雛鷹宝貝」の共同創始者兼COO(最高執行責任者)の李宇氏は、「国内各地の幼稚園を対象に約1年間行った調査から、90%以上の幼稚園は、毎日、子供にとって時間的・空間的に十分なスポーツ活動に参加させることができていないことが明らかになった」としている。
首都体育学院の王副院長は、「国内の多くの幼稚園教諭は、子供の文化・芸術教育だけに重点を置き、智能・芸術を重視する反面、体育を軽視している。このような状況から、幼稚園に通う子供は、運動をしたくても、教諭がその需要を満たせていない。さまざまな状況のもとで、いわゆる『体育の授業』は、単に子供を遊ばせておく活動にとどまってしまっているのが現状だ」との見方を示した。
関連調査によると、国内のほとんどの保護者は、「幼児は毎日、走ったり跳ねたりして活動しており、運動量は十分に足りている」と思い込んでいる。だが、実際のところは、科学的な体育・スポーツと、無目的に騒いで遊んでいる状態とは、天と地の差がある。
王副院長は、「小さい子供たちは元来、じっとしていられないものだ。そのため、その動きには目的や計画に基づいて運動させる必要がある。例えば、足を動かすことが好きな子供で、常に走りたがるような場合、大人はその子供の腰や腕といった部位を鍛えるトレーニングをさせることを考える必要がある。なぜなら子供は好きな動きがあった場合、そればかりを必死に繰り返すことになり、そうすると子供の身体的発達や身体素質の発達が全面的ではなく、バランスに欠ける結果を引き起こす可能性があるからだ」と指摘した。
ユニセフ中国事務所教育・児童発展専門家の陳学鋒・博士は、11日に開催された中国・米国スポーツフォーラム幼児スポーツ分科会において、「幼児の運動不足やバランスの悪さは、子供に対して悪影響をおよぼす隠れた大要因となり得る。子供の幼少期の運動不足や非科学的な生活が心身に及ぼすマイナス影響は、その子供の数年後さらには数十年後に現れてくる可能性がある。このため、先進諸国は現在、幼児スポーツを非常に重視している。英国の3歳から5歳までの幼児を対象とした運動ガイドラインによると、英国は、幼児が毎日3時間以上スポーツを行うよう求めているだけではなく、スポーツの種類もバラエティに富んだものとすることを求めている。また、米体育教育協会と米医学会は、子供は、昼間、1時間ごとに15分間のスポーツタイムを与えるべきだと提案している」とした。
中国における幼児体質の悪化傾向について、王副院長は、「政府関連部門は、中国の青少年学生の体質悪化が深刻な段階に進んで初めて修復措置を取ったことを教訓として、一日も早く対応策を制定・発表する必要がある。体育部門と教育部門は、部門を越えて協力・連携し、幼児教育を担当する基礎教育司と大・高・中・小学校の体育教育を担当する体育衛生・芸術教育司も協力・連携を実現する必要がある」と提案している。(編集KM)
「人民網日本語版」2018年8月13日
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