中国のリーディング企業、特に、インターネットサービス大手は近年世界の舞台で台頭し、日本の経済界やメディアで大きな話題となっている。一方、かねてから異彩を放ち、今でも依然として高い実力を誇る日本企業は、中国企業とは違う一面を見せている。瞭望東方周刊 が伝えた。(文/陳言。メディア人、日本問題専門家)
中国と日本の企業の一番の違いはというと、日本の企業は、「仕事」そのものに重きを置き、現在に目を向けているのに対して、中国企業は「事業を拡大し大きくなる」ことを好み、将来に目を向けている点だ。
筆者は以前、静岡県にある「先生精機株式会社」で働いたことがある。「先生」というのは創業者の名字からつけられており、70代の現社長・先生武司さんは、10代の時に父親が病気で亡くなったのを機に、会社を継ぎ、現在に至っている。
同社はバリ取り・面取りに特化した機械を専門に製造している。金属は加工後に多くの「バリ」ができ、各部品はその角をとらなければ、製品の寿命が短くなってしまう。
同社は創立当初、手作業でバリ取りをし、その後、機械でそれをするようになり、今では、バリ取り・面取りの機械を作るようになった。同社製の機械は、腕時計の米粒より小さな部品から、船や風力発電機などの直径6-7メートルの大型機械の部品まで、バリ取り・面取りをすることができるため、その技術、性能は日本国内外で広く知られている。今では、最先端のITコントロールやセンサー技術も導入している。
先生社長に、「上場することを考えたことはないのか?長年蓄積してきた経験や信用に、上場して調達できる資金を加えると、事業をもっと拡大できるのではないか?」と質問してみると、「僕は職人。お客さんに満足してもらえる機械を提供できればそれでいい」という答えが返ってきた。
先生社長のような考え方の日本の企業家、特に中小企業の経営者は非常に多い。目立とうとするのではなく、一つの仕事にひたすら打ち込み、数十年、ひいては百年以上も、同じ加工製造の小さな一つの分野に従事し、自分たちにしかできない技術を身につけるというのがそのスタイル。そして、多くの中国の企業家のような、「企業をどんどん大きくする」という野心を抱いていない。
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