ASEAN関連の経済相会議が先日、ASEAN輪番議長国のシンガポールで開かれた。関連会議では、開かれた包摂的な多角的貿易体制の維持が主流の声となった。
シンガポールのリー・シェンロン首相は第50回ASEAN経済相会合の開幕式で「ASEANは開かれた包摂的な多角的貿易体制を引き続き支持し、理念の近いパートナーと共に努力して協力を深めなければならない」と指摘した。
ASEAN経済相会議は貿易と投資の自由化及び円滑化の促進を目指す一連の協力文書を承認した。シンガポールのチャン・チュンシン貿易産業相は会議後の記者会見で域内包括的経済連携(RCEP)について、交渉の区切りが2つついたと指摘。ASEANが貿易の自由化と経済統合の実現のため対話パートナーと協力することを明らかにした。
東アジアはグローバル・サプライチェーンにおいて重要な位置を占め、自由で開かれた国際貿易から長年利益を得てきた歴史から、保護貿易主義に反対し、自由貿易秩序を維持することの重要性への認識を強めている。シンガポール国立大学法学部の王江雨准教授は人民日報の取材に「米国の保護貿易主義政策によって、経済のグローバル化が後退の危険に直面するだけでなく、東アジアも不確定性への懸念を抱いている」と指摘した。
会期中には第17回ASEANプラス1(中国)経済相会議、第21回ASEANプラス3(中日韓)経済相会議、第6回RCEP閣僚会議、第6回東アジアサミット経済相会議などが開催された。東アジアの経済・貿易協力で中国の果している重要な役割は参加各国から幅広く認められた。
ASEANプラス1(中国)経済相会議の共同声明は、交通・インフラ整備面でASEANのコネクティビティ強化と統合推進に果している中国の貢献に歓迎を表明。中国の「一帯一路」イニシアティブとASEAN連結性マスタープラン2025はASEAN共同体の構築を支えるうえで補完性があると指摘し、地域の貿易・投資の一層の促進を望むとした。ASEANプラス3(中日韓)経済相会議の声明は、11月に上海で開催される中国国際輸入博覧会について、中国市場を世界に一層開放するとともに、包摂・開放・協力の新たなプラットフォームの構築に貢献すると指摘した。
「中国の開放維持は貿易の自由化の維持にプラスであり、中国市場はすでに東アジア経済・貿易協力の『安定化装置』になったと、東アジアの多くの国々は信じている」。王氏は「中国はアジア各国にとって最重要貿易パートナーの1つだ。東アジア諸国は巨大な中国市場に頼っている。これは二国間貿易を促進するだけでなく、保護貿易主義のもたらす不確定性とのバランスを取ることにもなる。中国は東アジア諸国と積極的に自由貿易協定を締結しており、ルール制定の主要な推進国の1つとなってきている」とした。
■中国はRCEP交渉推進の過程で重要な役割を発揮
今年は「一帯一路」イニシアティブを打ち出してから5周年だ。チャン氏は人民日報の取材に「中国の貢献は互恵・ウィンウィンの実現にプラスだ。『一帯一路』イニシアティブはコネクティビティを通じて経済的補完性を促進し、互恵・ウィンウィンを実現することができる。ASEANはコネクティビティを必要としている。また、開かれた、ルールを基礎とするグローバルな貿易枠組は各国に利益をもたらすと信じる」と述べた。
RCEPは16カ国が交渉に参加しており、成立すれば世界最大の自由貿易圏となる。保護貿易主義と一国主義が台頭する中、自由貿易圏の構築が加速傾向にある。参加閣僚は声明で「貿易摩擦が強まる中、RCEPの構築は開かれた、ルールを基礎とする、包摂的なグローバル貿易環境を力強く支えることになる。これは各参加国の共通の責任でもある」と指摘した。
王氏は「RCEP参加国は発展水準が一様ではないが、いずれもRCEP妥結への政治的意志が非常に強い。中国はRCEP交渉の推進過程で重要な役割を発揮してきた。『一帯一路』建設の中で蓄積した数多くの実践経験も、RCEPが貿易の円滑化と投資環境の改善を進めるうえで有益な参考となる」と指摘した。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年9月17日
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