遼寧省大連市中級人民法院(地方裁判所)は14日、カナダ国籍のロバート・ロイド・シェレンバーグ(Robert Lloyd Schellenberg)被告に対し、麻薬密輸罪で死刑判決を言い渡し、被告の私有財産も全て没収する判決が下された。人民網が伝えた。
大連市中級人民法院は2018年11月20日、麻薬密輸罪に問われていたロバート被告の一審判決で、懲役15年と罰金15万元(1元は約16.1円)の上、国外追放の判決を言い渡していた。しかしロバート被告はこの判決を不服として控訴。12月29日、遼寧省高級人民法院(高等裁判所)で開かれた控訴審において、遼寧省人民検察院の検察官は、一審判決は被告人を従犯と犯罪未遂としており、その判決が寛大すぎると主張。審議の結果、同人民法院は本案件を第一審に差し戻すことを命じた。大連市人民検察院は新たな証拠を提出して追訴。大連市中級人民法院は、法に基づき、合議審を構成し、本案件に対して公開審理を行った。
大連市中級人民法院は審理を通じ、現在も逃亡中のKhamla容疑者やSteven容疑者、そして「周」容疑者らは、国際麻薬密売組織のメンバーとして活動しており、中国国内の平安銀行と招商銀行の2つの口座を使って麻薬犯罪のための資金援助を行っていたことが明らかにされた。2014年10月中旬、Kahamla容疑者は「許」という名の通訳を雇い入れ、この通訳の「許」に大連市内の倉庫を借り、タイヤを購入するよう指示した。そして「周」容疑者と簡祥栄受刑者(別件の麻薬密輸・麻薬所持罪で無期懲役の判決を受け服役中)が広東省から大連に運んできた覚せい剤のメタンフェタミン222袋が隠された20トン分のプラスチック粒を受け取り、倉庫に運び入れると同時に、外国人1人を派遣してこの貨物をさばくことを通訳の「許」に指示した。11月19日、Khamla容疑者はロバート被告に大連に赴き、通訳の「許」と会い、タイヤ内側のライナーに覚せい剤を隠し、オーストラリアに運ぶよう指示した。それを受け、ロバート被告は通訳の「許」に、覚せい剤をタイヤ内側のライナーに新たにパッキングするための道具を調達し、タイヤ、インナーチューブ、中古のコンテナを購入するよう指示した。ロバート被告は貨物をチェックし、作業量を見積ると、積み荷する船の出港予定日を11月から12月に変更。27日午後、ロバート被告は麦慶祥受刑者(別件の麻薬密輸罪で2年の執行猶予付き死刑判決)に電話し、麻薬を保管しておくための別の倉庫を探すよう助けを求めた。麦受刑者はその後、大連の倉庫業者に倉庫を借りるために電話連絡をしていた。29日、通訳の「許」が公安機関に通報。通報されたことに気づいたロバート被告は、12月1日早朝、滞在先のホテルを出て大連空港に向かい、タイに逃亡を企てた。またその際に、被告は携帯端末のSIMカードを捨て、新しいものと交換。同日午後1時、ロバート被告が乗った旅客機が広州に着陸すると、ロバート被告は公安機関に逮捕された。また鑑定の結果、押収されたメタンフェタミン222袋の正味重量は222.035キログラムだった。
検察側は法廷において、物証となる写真、記録、現場における調査記録、麻薬鑑定結果、別件の被告による供述記録、証人による証言記録など各種証拠を提示し、通訳の「許」も参考人として出廷した。
大連市中級人民法院は、ロバート被告が組織的な国際麻薬密売活動に携わり、他のメンバーとメタンフェタミン222.035キログラムを密輸しようとしたその行為は麻薬密輸罪にあたると認定した。検察側が指摘した犯罪の事実は明確で、その証拠は確実で十分であることから、麻薬密輸罪が成立し、ロバート被告はその主犯格として直接犯罪に関わったとした。被告が犯した犯罪の事実、性質、情状および社会に対する影響は極めて深刻であることから、「中華人民共和国刑法」の関連規定に基づき、麻薬密輸罪でロバート被告に死刑と全財産没収の判決が下された。
裁判長は判決文を読み上げた際、「被告が本判決を不服とする場合、判決文を受領した翌日から10日間以内に、遼寧省高級人民法院に対して上訴する権利を有する」と被告に告知した。
人民法院は事件の審理中、被告人が控訴プロセスにおいて弁護や通訳など各種の権利を有することを、法により保障している。同院は開廷前、在中国カナダ大使館に対して関連規定を告知し、同大使館の職員が裁判を傍聴した。またこのほかにも各界の人々や一部の国内外の報道関係者約50人が本裁判を傍聴し、判決が言い渡されるのを見守った。(編集KM)
「人民網日本語版」2019年1月15日
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