核拡散防止条約(NPT)の定める核保有国である中国、フランス、ロシア、英国、米国による「核保有5カ国の協力を強化し、NPT体制を維持」をテーマとする正式会議が1月30日に北京で開かれた。5カ国はNPT再検討の過程で調整制度を構築し、戦略・安全保障分野の重要な問題で定期的な意思疎通を継続している。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
中国は核保有5カ国の調整制度の役割を重視している。2018年後半に再び調整国になって以降、中国側はジュネーブで核保有5カ国大使級協議を2回開催した他、国連総会第一委員会で核保有5カ国代表団団長協議及び核政策交流を主催し、核政策と戦略的安定性、NPT再検討、核保有5カ国の調整などの問題について踏み込んだ意見交換をしてきた。
今回の核保有5カ国による正式会議で、中国側は議長総括で各国間の重要な共通認識として(1)世界の平和と安全の責任を共に担うことを約束(2)NPT体制を共同で維持することを約束(3)核保有5カ国の協力プラットフォームを引き続き利用して対話と調整を継続することを約束――の3点を挙げた。世界の平和と戦略的安定性の維持が核保有5カ国の一致した努力の方向性であることが見てとれる。
「共通の安全保障」原則の遵守が基礎だ。核保有5カ国は共に、現在世界の安全保障環境が厳しい試練に直面し、世界の戦略的安定性が脅かされ、核戦争の危険性が依然あることを認識している。良好な大国間関係を維持するには、「共通の安全保障」原則を遵守する必要がある。共通の安全保障とは、全ての国々の安全を尊重し、保障する必要があり、一部の国々が安全で別の国々が安全でないことがあってはならず、ましてや他国の安全を犠牲にして自国のいわゆる絶対的安全を図ることがあってはならないということだ。中国側は、自国の地政学的利益を国際的な核不拡散の規則より優先してはならないと一貫して強調してきた。従って、核保有5カ国が核政策と核戦略について話し合うのは、共通の利益を拡大し、戦略の相互信頼を増進し、誤解や誤った判断が核リスクを引き起こすのを防ぐのが目標だ。
NPTは国際核不拡散体制の礎だ。国力がいかに強大でも、複雑に入り組んだ現在の安全保障上の試練に単独で対処するのは困難だ。協力によって平和を図り、安全を促進することが、核保有5カ国にとって正しい選択だ。各国はNPTが国際的な核不拡散体制の礎であり、国際安全保障枠組の重要部分をなすものでもあり、NPTの権威性、実効性、普遍性の強化に尽力すべきであることを強調した。核保有5カ国はNPTを全面的かつ完全に履行することを約束し、核なき世界という目標を順序を追って漸進的に実現し、核不拡散問題の政治的・外交的手段を通じた解決に最大限の努力を尽くすとともに、原子力平和利用の国際協力の促進に尽力することを確認した。
交流のプラットフォームを活用する。核保有5カ国は交流のプラットフォームを活用し、戦略対話を継続し、NPT再検討過程で調整を強化し、2020年のNPT再検討会議の成功を共に後押しすることで合意した。核保有5カ国はさらに広範な交流を繰り広げ、国際社会とオープンで建設的な対話を行う意向も示した。
現在各国は運命共同体を構築する必要があり、同舟相救い、共に責任を担って初めて世界の平和と安全を維持することができる。今回の核保有5カ国による正式会議が得た共通認識は、世界の安全保障上の試練への対処で調整・協力するという積極的姿勢の表れであり、世界の安全保障環境に対する国際社会の信頼を強化するうえでプラスだ。参加各国は会議の得た前向きな成果を評価した。前進の道程は長く、今後も各国が手を携えて歩むことが必要だ。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年2月1日
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