日本企業が2018年に関わったグローバル合併買収(M&A)プロジェクトは件数も金額も過去最高水準に達した。国内市場が飽和する状況の中、日本の大手企業は再び国際市場に狙いを定めており、M&Aを構造調整の重要な手段とし、国際市場を開拓するのが、日本の経済発展の新たな原動力になっている。「経済日報」が伝えた。
18年に日本企業が関わったM&Aプロジェクトは3850件あり、前年同期比26.2%増加し、7年連続の増加となった。日本企業が関わるグローバルM&Aは件数も金額も過去最高水準に達した。国内市場が飽和状態にある中、いくつかの大手企業が再び国際市場に狙いを定め、M&Aを構造調整の重要な手段とする企業もある。ここから国際市場の開拓が日本の経済発展の新たな原動力になったこともわかる。
最近の日本企業が関わるM&Aにはいくつかの新たな特徴がみられる。1つ目は日本の大手企業が海外の先進技術を導入するために発展の見込みがあるベンチャー企業に対する大規模なM&Aを進めていることで、このタイプの案件は1313件あり、前年同期比50%以上増加した。ここからこうした企業が長期的発展戦略を重視していることがわかる。2つ目はM&Aの金額が巨額だったことで、通年のM&Aプロジェクト総額は29兆8800億円に達し、前年の1.2倍に増え、中でもいくつかの大手企業が活発な動きをみせた。たとえば武田薬品工業はアイルランドの製薬大手シャイアーを約7兆円で買収し、ソフトバンクグループは9兆円を出資して世界で51件のM&Aを行った。18年に日本企業が海外で行った1千億円以上のM&Aは32件あり、同70%増加した。
アナリストの指摘によると、日本企業がこれほど大規模に海外M&Aを展開するのには3つの理由がある。1つ目は国内市場が飽和したため、各企業は相次いでM&A方式によって、国際市場を吸収開拓しようとし、多国籍経営方式を企業の未来の発展の主要原動力としていることだ。2つ目は企業が海外の新技術の導入をM&Aの重点ととらえていることで、M&Aの対象となったほぼすべての企業は数多くの特許や先端技術を保有している。3つ目はいくつかの大手企業が海外M&Aによって企業の構造調整を進めていることだ。たとえば日立製作所は7千億円を出資してスイスの大型機械メーカーABBの送配電事業を買収するとともに、自社のカーナビゲーション子会社をフランス企業に売却し、世界の電力市場、機械市場に力を集中し足場を固めようとしている。
こうした動きについて、国際経営業務に詳しい野村證券の経営役・角田慎介氏は、「世界的産業が変革を遂げている大きな流れの中、日本の伝統的製造業が直面する国際環境に激しい変化が起きており、競争の中で優位に立つために、いくつかの大手企業が相次いで国際的先端技術や成長力のある企業に目を向けるようになった」と指摘する。
ここ数年、日本政府は法人税の引き下げ、投資の減税、技術研究開発の減税などの優遇措置を執り、いくつかの大手企業が大きな利益を得るようにしてきた。統計によると、資本金10億円以上の大手企業が17年度に得た利益は57兆6千億円で、成長率は73.6%に達し、大手企業が留保する利益は425兆8千億円に達して、過去最高を更新した。こうした大手企業の豊富な財力が国際M&Aの年々の上昇を後押しした。
ここ数年の日本経済の発展の動きを眺めると、海外投資は経済成長の重要な柱になっている。07年は自動車・電子機械輸出は日本の主要な経常収支の黒字をもたらすものだったが、日本の財務省がこのほど発表した18年の国際収支統計(速報値)によると、日本の対外サービス貿易などの経常収支残高は19兆9320億円となっている。このうち直接投資の利益が10兆308億円に達し、初めて10兆円の大台を突破し、貿易黒字の8倍以上になった。
統計によると、18年9月の時点で、日本がM&Aでの直接投資による工場建設などの海外直接投資の残高は185兆円に上り、このうち14年から18年5月までの直接投資額は75兆円で、それ以前の5年間に比べて67%増加し、主要分布先は北米とアジア地域だった。直接投資する産業は自動車、機械、化学、製薬などのほか、小売や金融といった非製造業も大幅に増加した。
ここからわかるのは、日本企業の海外投資戦略に根本的な変化が生じていることだ。単純な商品輸出から海外での投資生産に変わり、最近はさらに小売や金融といった非製造業分野に拡大している。日本の株式会社国際協力銀行(JBIC)が行った調査によると、18年には日本の製造業の海外生産の比率が36%に達し、製品の海外売上高は40%を占めた。日本企業は今、国際化の大きな流れがもたらす発展のチャンスをうかがっている。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年2月15日
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