AI画家の「夏語冰」が「訓練」を受ける際に用いられた歴史上の画家数百人の作品データ(写真提供・取材対象者)
「AIのほうがマンネリを脱する可能性大」
こうしてみると、人間とAIが創作する絵画に違いはないように思える。
小氷の研究開発スタッフも、小氷がテキストや他の創作の源から刺激を受けて、単独で100%オリジナルの絵画作品を完成させられることを証明しており、「こうした創作のオリジナリティは、構図だけでなく色の使い方や表現力、作品に含まれる細かい要素にも体現されており、プロの人間の画家のレベルに近い。その他の既存技術と比べ、この絵画パターンはランダムな画面生成でもなければ、既存の画面に対するスタイルの移行・変換やフィルター効果処理でもない」としている。
しかし邱院長の考えでは、ある角度から見ると、AIは明らかに人間よりも優れているという。邱院長は、「小氷の絵はスタイルが多様で、手法が比較的熟練しており、描くのも速い。創作の量が非常に多く、我々にとっては選択の余地が非常に大きい。優れた絵をいくつも選ぶことができる」とはっきり指摘している。
AIは数の上で人間より優れているだけでなく、クリエイティビティの面でもより多くの可能性を備えている。
「AIにいくつかルールを与えると、そのルールを用いて無限の変化を組み合わせてくる。反対に人間のほうは習慣や自分のいつも通りのやり方、つまり教育や経験によって作り出されたいつものやり方に陥りやすい。一方、AIは与えられた美学原則を認識し、それらを用いて並べたり組み合わせたりして、異なる視覚的効果を生み出すことができる」。
邱院長は次のように仮定してみせた。もしAIに「繰り返し不可」という指令を出したらどうなるか。「実際、AIがマンネリから脱する可能性はさらに大きくなるだろう」。