中国の科学者チームはホッキョクグマの毛の構造からインスピレーションを受け、空洞構造を持つ軽量で疎水の断熱材を開発した。将来的には航空・宇宙などの材料に対する特殊な需要を満たすことが見込まれている。新華社が伝えた。
人類やその他の哺乳類の毛と異なり、ホッキョクグマの毛は中が空洞になっている。この構造により肌の表面から周囲の低温環境への熱伝導を防止できる。
そこからインスピレーションを受け、中が空洞のカーボンチューブエアロゲルを人工的に合成したと中国の科学者チームは6日、米学術誌に掲載した論文の中で発表した。その内径は35ナノメートルのみで、空気の平均自由行程(75ナノメートル)を大きく下回る。つまりチューブ内の空気がほとんど熱を伝えないため、この材料は高い断熱性を持つことになる。またこのカーボンチューブエアロゲルは3次元ネットワーク構造により非常に高い弾力性が備わっており、30%のひずみの下100万回圧縮されても整った構造を維持できる。
論文の連絡著者である中国科学技術大学の兪書宏教授は「長期的な進化を経て、ホッキョクグマの中が空洞の毛は寒く湿った環境においてエネルギーの損失を減らすことができるようになった。これは人工合成断熱材の理想的なモデルだ」と述べた。研究チームは今後、より大きいスケールの材料を生産し、量産化を実現することで、航空・宇宙などの分野での応用を促進する予定だ。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年6月10日