日本の文部科学省は2009年にスタートした「留学生30万人計画」で、英語による留学生向けの授業に関する措置を重点的に推進し、14年には「スーパーグローバル大学」プロジェクトも打ち出し、留学生の誘致に大いに力を入れてきた。ここ数年は日本への留学生がたびたび過去最高を更新するなどして、誘致政策は徐々に効果が現れてきた。しかし国際競争や日本が直面する「東京一極集中」や「地方消滅」などの問題を背景に、これからの日本は留学生の誘致、教育の国際化発展の推進などで数々の困難に直面することが予想される。(文:李冬梅・北京教育科学研究院教育発展研究センター補佐研究員。「中国教育報」掲載)
▽日本への留学生が過去最高を更新
日本の独立行政法人日本学生支援機構が17年12月に発表した最新の外国人留学生に関する調査報告書によると、17年5月1日現在、日本への留学生は26万7042人に達し、前年比2万7755人増加し、増加率は11.6%となり、過去最高を更新した。
日本への留学生の出身国・地域をみると、17年は93%がアジア出身で24万9242人に達した。このうち中国とベトナムが合わせて63.3%に上り、トップは中国大陸部の10万7260人で40.2%を占め、次はベトナムの6万1671人、さらにネパールの2万1500人と韓国の1万5740人が続いた。専攻は人文科学が12万4305人で最多の46.5%を占め、以下、社会科学の6万7664人、工学の3万804人、芸術の8432人が続いた。
留学生の日本での滞在先をみると、一番多いのは東京で10万3456人に上り、留学生全体の38.74%を占めた。またここ数年の調査データをみると、東京への留学生数が爆発的に増加し、13年は6万515人、14年は6万9903人、15年は8万1543人、16年は9万2534人と年々増えている。
日本は少子化がますます進行し、人手不足の状況も続き、日本政府は外国人留学生の就労条件を緩和する措置を積極的に推進し、より多くの外国人を誘致しようとしている。外国人留学生が日本の大学を卒業後、年収300万円以上で日本語を使う職場で働く場合は、業種や分野を限定せずに在留資格が与えられる。
▽留学生誘致の見通しは楽観できない
現在の状況をみると、日本への留学生はまもなく30万人を突破する勢いで、世界トップクラスの都市になるべく努力している東京は引き続きより多くの外国人留学生を誘致しようとしており、予想では今後数年間、東京都内の留学生数は増加を続けるという。また一方で、人口資源などが首都圏に過度に集中する「東京一極集中」が、日本の多くの地方から発展の力を奪い、「地方消滅」という現象を招いている。そこで日本は国レベルで地方振興計画を実施するとともに、東京23区の大学の定員を抑制した。東京都の小池百合子知事はこの政策に公然と反対し、東京の国際化プロセスを大いに阻害するものとの見方を示したが、地方の振興を実現して、さらには日本全体の発展推進を目的とする国のグランドデザインを揺るがすことはできない。これと同時に、都市への人口密集は交通渋滞、物価高騰、環境悪化などの「大都市病」をもたらし、東京が外国人留学生への高い誘致力を維持できるかどうかも問題だ。また日本周辺の一部の国も日本と同様に少子化や人手不足に悩んでおり、海外に出た自国の学生を呼び戻して自国内での発展を推進するとともに、日本と留学生を奪い合うようになると予想される。これも日本にとって重大な挑戦だといえる。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年8月7日