中国の科学者、人類の胚の着床プロセスを初めて解析

人民網日本語版 2019年08月22日13:36

受精卵が赤ちゃんにまで成長するためには、まず発育の7日目頃に着床しなければならない。この期間中、人の胚細胞を得ることができず、解析が困難だ。ネイチャー誌は22日、北京大学の湯富酬氏と北京大学第三病院の喬傑氏の共同チームによる研究の最新の進展を掲載した。彼らは体外人類着床シミュレーション及び高精度単細胞シーケンシング技術を利用し、「ブラックボックス」内の仕組みを明らかにした。科技日報が伝えた。

論文の連絡著者、中国工程院院士で北京大学第三病院院長の喬傑氏は「臨床上、着床失敗は早期流産を引き起こす重要な要素の一つだ。これまでは自然受胎後の早期着床後の段階の人の胚を得ることができず、げっ歯類もしくは猿の胚などを代替品として研究を行っていた。人類の分子調整などの法則の実際の状況を正確に反映できなかった」と説明した。

そこで研究チームは人工授精後の受精卵を利用し、人の胚の体外着床・成長をシミュレートした。論文の連絡著者で北京大学生命科学院・生物医学先端革新センター教授の湯富酬氏によると、高精度単細胞マルチオミックスシーケンシング技術を利用し、チームは初めて単細胞解像度作成のトランスクリプトームとDNAメチル化グループの動的変化の過程を再構築し、人類の胚の着床プロセスを再現した。遺伝子発現調整ネットワークとDNAメチル化動的「フルパノラマ図」を作成した。

「胚はこの特殊な段階に母胎と連結する準備状態に入る」。論文著者の一人で北京大学生命科学院博士研究員の周帆氏によると、例えば胚盤葉上層に多能性変化(多能性細胞は脳や心臓などに分化できる)が生じると、栄養外胚葉が徐々に特定のホルモン関連遺伝子を発現し始める。各種細胞系統は独自の特徴的遺伝子を持ち、またカニクイザルの胚の着床プロセスとの一定の違いを示す。

研究ではさらに、胚の着床プロセスにおけるDNAメチル化修飾水準は、細胞の種類によって特有の上昇傾向を示す。「胚細胞はDNAメチル化と協力し、調整体制の構築を行う可能性がある」。周氏によると、DNAメチル化の時系列も、特異性調整のカギとなる遺伝子の転写に関わり、共に細胞の運命を決定する可能性もある。(編集YF)

「人民網日本語版」2019年8月22日

  

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