◎双方による評価・紛争解決メカニズムにおいて、中米双方の権利・義務は完全に対等であり、決して米国が一方的に中国を監督するメカニズムではない
合意文書は対等の原則を踏まえ、双方による評価と紛争解決のメカニズムを明確にした。復旦大学サイバースペース研究基地の沈逸代表は、「これはグローバル化を背景とした貿易紛争処理メカニズムのイノベーションだ」との見方を示した。
このメカニズムによって、WTO紛争解決制度のほかに中米両国の貿易紛争解決の新たなチャンネルが増えることになる。沈氏は、「このメカニズムは『新たにルールを作り直す』のではなく、WTO紛争解決制度という基本原則を堅持したもので、双方はそれぞれWTOにおける基本的権利を留保する。これを基礎に、双方は重大な貿易問題について速やかに二国間協議を行うことができ、貿易紛争のエスカレートを効果的に避けることができ、貿易関係の安定した発展を守ることができる」と続けた。
また沈氏は、「このメカニズムでは、中米双方の権利・義務は完全に対等であり、決して米国が一方的に中国を監督するメカニズムではない。米国が商品の輸出入拡大についての協議を始めることを認めるだけでなく、中国も同じように輸出入拡大について協議を始めることができる。中国が米国のある商品を輸入したいと思いながら、実際には輸入が難しい場合、こうした『買いたいのに買えない』という状況で、二国間協議を主体的に行い、米国に交渉のテーブルについて話し合うよう求めることができる。これは中国が米国の輸出制限商品を輸入するためのルートを切り開くことになる」と述べた。
◎関税引き下げは第1段階の合意に対する予想に合致し、今後の交渉に向けて主導権を握ることになった
合意文書は米国が対中追加関税を引き上げから引き下げへと転換することを後押しし、これには元々昨年12月15日に引き上げる予定だった関税の一時停止、昨年9月1日に発効した対中追加関税の税率15%を7.5%に引き下げることが含まれる。沈氏はこれについて、「現在、中米間で達成したのは第1段階の合意であり、関税引き下げも段階的なもので、予想に合致する。注目されるのは、これは米国の一部の人がここ2年ほど関税の大棒をしきりに振り回した後で、関係する貿易相手国に対して初めて打ち出した関税の引き下げであり、中国が交渉で重大な成果を得たことを十分に物語るものだ」と述べた。
取材を受けた専門家たちの間では、「2年に迫る困難な交渉を経て、中米双方が最終的に経済貿易協議の第1段階の合意に到達し、協力・ウィンウィンの原則を体現したことは、中国にプラスであり、米国にプラスであり、世界全体にとってもプラスであり、市場と予測を効果的に安定させることができ、各方面の利益に合致するとともに、開放を全方位的に拡大するという中国の大きな枠組みにも合致する。合意の達成により、中米経済貿易関係は再び正しい軌道に戻り、世界各国が経済貿易摩擦を処理する際の模範になる」との見方が一般的だ。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年1月16日