中国中央テレビ(CCTV) で放送中の漢詩をテーマにした視聴者参加型番組「中国詩詞大会」シーズン5が人気となっていることで、人々の間で再び伝統文化への注目が高まり、多くの若者も漢詩など古典文学や中国画などの伝統文化・芸術に触れ、好むようになっている。中国青年報が伝えた。
中国青年報社社会調査センターと問巻網(wenjuan.com)が調査対象者2006人に対して行った調査の結果によると、調査対象者の97.0%が創意工夫のある伝統文化の見せ方を好んでいた。交流分析の結果、こうした見せ方を好む割合が最も高かったのは「90後(1990年代生まれ)」(98.8%)で、それに次いで高かったのは「80後(1980年代生まれ)」(97.1%)だった。
北京の劉晨晨さん(仮名、女性)は1990年生まれで、休日には手工芸や絞り染め、中国画などのカリキュラムに参加し、家には自身の作品が数多く飾られている。
「以前北京のあるアートエリアに遊びに行った時、絞り染めの体験講座をやっているのを見かけた。その講座では、絞り染めの手順が簡略化され、参加者は途中まですでに出来上がっているキットを加工して、自分の作品を仕上げることができた。こういう方法であれば、一般の人もこの伝統技術を知り、体験しやすくなる」と劉さんは言う。
調査結果によると、伝統文化の見せ方と伝え方については、61.9%が「伝統的な要素と現代的な要素との融合」を好んでおり、59.8%が「シンプルでユーモアにあふれた歴史の新解釈」を好み、50.8%が「科学技術の要素を取り入れた見せ方」を好み、46.1%が「画面や音声のある伝統文化関連の動画」を好んでいた。
中央財経大学文化経済研究院院長で、北京大学文化産業研究院研究員の魏鵬挙氏は、「文化のソフトパワーは一国の総合力において重要な位置を占めている。中国の伝統文化は世界への発信の面でかなりの業績を上げており、中国の書道や太極拳、中医薬などはどれも国際的に一定の影響力を持っている」と指摘する。
上海のある大学の大学院に在籍する王亮さん(仮名)は、現在伝統文化を伝える上で存在する問題は、伝えようとする人がその対象となる受け手の興味に合わせて伝えることが難しい点だと指摘する。王さんは、「ただ、優れた事例もある。例えば『中国詩詞大会』のような番組はとてもいい。伝統文化にその場景や競技などの要素を盛り込み、視聴者が楽しみながら漢詩の内容を理解できるようになっている」と述べた。
また劉晨晨さんは、「去年とても人気を博したあるゲームでは、多くの歴史上の人物のキャラが登場し、スキルもその人物の特徴に合わせて設定されていた。このゲーム自体は伝統文化を伝える上でとても優れたツールだったが、一部のキャラクターの性別設定が歴史上の事実とは異なっていた。これはアレンジが行き過ぎていた」と言う。
現在、伝統文化の伝え方にはどのような問題があるのだろうか?調査対象者の62.7%は「伝統文化の見せ方には新鮮味がない」と回答し、61.2%は「アレンジが行き過ぎ、重要な事実が歪められている」と回答、56.6%は「一部の宣伝や見せ方は単調で型にはまっている」と指摘した。
魏氏は、「現在、伝統文化伝承の面では、形式を過度に偏重し、内容をなおざりにするという問題がある」と指摘し、「例えば書道や手工芸、伝統的祝日の面などで、伝統文化の内在的価値観に対する人々の学びや認識、伝承は十分とは言えない。現在数多くみられる内容をなおざりにしている現象は、伝統文化がしっかり伝承されていないことと大きな関係があると思う」との見解を示す。
また、伝統文化の伝え方については、調査対象者の70.1%が「新しい要素を取り入れて、伝統文化に活力を吹き込む」ことを望んでおり、58.7%は「今後伝統文化商品の内容やポジショニングをより精確に行う」を希望し、55.0%が「先進技術を取り入れて、五感に訴える」と回答、49.1%が「SNSメディアで広める」ことを提案した。(編集AK)
「人民網日本語版」2020年2月10日