新型コロナウイルス感染拡大により、世界経済は深刻な打撃を受けており、海外直接投資(FDI)も大幅に減少するとみられている。国際連合貿易開発会議(UNCTAD)は、今年、世界のFDIは2019年比で約40%減となり、2005年以降で最低の水準になるだろうと予想している。世界で新型コロナウイルス感染が拡大を続け、直接投資が低迷を続けるというダブルのプレッシャーがかかる中、今年4月と5月、中国の外資流入は流れに逆らって2ヶ月連続で上昇した。では、外資はなぜ、中国市場の成長を見込んでいるのだろうか?(文:趙萍・中国貿易促進会研究院国際貿易研究部部長。人民日報海外版に掲載)
中国経済が急速に回復し、外資の信頼度が高まっている。
世界2位のエコノミーで世界2位の消費市場、そして世界一のEC市場である中国の市場規模と成長のポテンシャルは巨大で、産業チェーンは整っており、世界で唯一、国連の国際標準産業分類(ISIC)に列挙される全ての工業ジャンルをカバーしている国であるため、中国は外資にとって以前から非常に魅力のある市場となっていた。中国の外資導入額の規模は毎年のように過去最多を記録し、世界2位の外資流入国の地位を安定してキープしている。
新型コロナウイルスが発生して以降、中国は率先してそれを抑え込み、今では企業活動・工場操業が全面的に再開され、世界の投資のリスク回避先となっている。今年5月の時点で、中国の社会消費財小売総額の減少幅は3ヶ月連続で縮小し、一部の消費高度化系商品の売上高は成長のペースを上げた。消費市場の急速な回復により、生産サイド、製造業の安定した回復をもたらし、ファンダメンタルズは継続的に改善している。5月、全国の一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)の利益総額は5823億4000万元(1元は約15.3円)に達し、4月には減少していた前年同期比が、6.0%増へと増加に転じた。業界の景況指数は継続して上昇し、6月には、製造業の購買担当者指数(PMI)が50.9%に回復、非製造業景況指数も4ヶ月連続で回復して54.4%に達した。主要産業は景気拡張区間で推移している。
需要と供給が引き続き回復を続けるのにつれて、外資の信頼度や投資の規模も並行して上昇し続けている。経営コンサルティング会社・A.T.カーニーが発表した報告によると、中国のFDI信頼度指数は、発展途上国の中でトップに立ち、中国は世界の投資先トップ10に入った唯一の新興市場国となっている。中国商務部(省)の統計によると、今年5月、中国全土の実行ベースの外資導入額は前年同期比7.5%増だった。特に、ハイテク産業の実行ベースの外資導入額の増加幅が大きく、1月から5月にかけて、情報サービス、ECサービス、研究開発・設計サービスの成長幅が前年同期比で42.3%増、67.9%増、49.8%増となった。
ビジネス環境が改善し続け、外資の参入の機会が増えている。