中国北方の牧民の「千里眼」になる北斗衛星測位システム

人民網日本語版 2020年08月03日14:16

中国北方の広大な内蒙古(内モンゴル)の草原では、牧民が牛や羊の移動先についていく伝統があったが、「北斗」システムの力により密かに変化が生じている。北斗衛星測位システムに基づくスマート放牧の普及に伴い、自宅の中にいながら放牧をする牧民がますます増えている。新華社が伝えた。

オルドス市エジンホロ旗エジンホロ鎮沙巴日太嘎査で、モンゴル族の牧民である敖特更吉日嘎拉さん(50)一家の60数頭の牛が3つのグループに分かれ、見渡す限り広がる草原で草を食べていた。敖特更吉日嘎拉さんはかつてのように牛を近くで見張るのではなく、数キロ離れた耕作地でトウモロコシの育ち具合を調べていた。

「これは北斗放牧システムのおかげだ。私は一日中牛の後を歩く必要がなくなった。時間に余裕ができ、さらに2ヘクタールの耕作地を請け負い栽培を行っている」

敖特更吉日嘎拉さんが話す「北斗」放牧システムとは、牛につけた「北斗」の首輪や携帯電話、タブレットPCの「微信(WeChat)」ミニプログラムによって構築される。

筆者が取材したところ、「北斗」の首輪は黒色で、円柱の装置が取り付けられていた。その中には信号発射・受信チップが内蔵されていた。首輪にはさらにソーラーパネルがあり、持続的に装置に給電できる。首輪全体の重さは約0.2キロ。

牧民がモバイル端末で「微信ミニプログラム」を立ち上げると、画面に牛の地理的位置が表示される。これは北斗衛星測位システムの測位機能によるものだ。

同システムはこのほど、新機能をリリースした。画面の「北斗衛星連動」に触れると、動画で牛を見ることができる。

「北斗」放牧システムの技術指導を担当するエジンホロ旗の科技特派員である朝魯氏は、「当社は牧場の高い場所に、7.5キロ先まで見える高画質望遠レンズカメラを設置した。画面の操作により、北斗に動画で牛を見る指示を出すと、カメラが牛の位置を向きリアルタイムの画面を伝送してくれる。これは北斗衛星測位システムのショートメール通信機能を利用している」と説明した。

同システムにはさらに「電子フェンス」機能がある。朝氏は「牧民はシステムで電子座標を設定し、牛・羊の活動範囲を囲うことができる。この範囲から出るとミニプログラムが警報を出す。システムはさらに家畜自動飲水などの機能を追加できる」と話した。

敖特更吉日嘎拉さんは2016年より「北斗」放牧システムの使用を試みている。牛は集団行動を好むため、「北斗」首輪を6つ購入しリーダーに装着するだけで、60数頭の牛の面積667ヘクタール以上の草原における動きを把握できるという。首輪の価格は300元(1元は約15.2円)余りで、年間サービス料は50元未満。一日中バイクで放牧するよりも安上がりだ。

敖特更吉日嘎拉さんは「草原で牛や羊の後を追うと毎日10時間ほどかかり、他のことは手につかなかった。今や栽培を行う時間ができ、収入も一つ増えた」と述べた。(編集YF)

「人民網日本語版」2020年8月3日

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