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社会のモデル転換と技術の進歩は、現代の若者たちの職業選択意識の変化を促している。彼らは足下を固め、「自立したい」と考えると同時に、自分の好きなことや夢を追い求める人たちでもあり、現在の仕事を突然やめてしまうという問題も存在する。
「上司はいつも私の仕事のあれが不満、これが不満と言いながら、具体的で合理的な修正プランを出してきたことがない。何も問題がないときでも、評価されたことがない」。卓さんは仕事の話になると、こんな風に怒りを抑えられない様子だ。
卓さんは昨年7月、新たな業務プランを作り直すように言われ、これが最後の引き金となってついに「心が折れた」という。上司の叱責から辞職の決定まで、わずか半日間だった。また職場を去るとき、思わず次のような捨て台詞も吐いてしまったという。「能力があればどこでも活躍できる。ここでは思うような仕事ができない。次の居場所を探した方がましだ」と卓さん。
少し前、卓さんと同じく90後(1990年代生まれ)の小一さんは、入社してから2ヶ月もたたずに会社をやめることにした。「毎朝10時から夜10時までずっとスタンバイ状態。上司から微信(WeChat)のメッセージが来て10分以内に返信しないと、電話がかかってくるような状況だった」という。
小一さんは家でくつろいでいるはずの時間と仕事の時間との区別がだんだんあいまいになり、絶えずピリピリした緊張状態の中で自分の生活が失われていく感じがしたという。
ビジネスに特化したSNSのリンクトインが発表した「最初の就職先トレンドインサイト」によると、働く人が最初の就職先にいた期間は世代が下るにつれて明らかに短くなる。70後(1970年代生まれ)は平均4年以上で転職し、80後(1980年代生まれ)は3年半だが、90後になると19ヶ月と短くなり、95後(1995年から1999年生まれ)に至ってはわずか7ヶ月だ。
ますます多くの若者が「我慢して」1つの職場にとどまらなくなっており、好きでもない仕事に、意欲がわくはずがないと考える人がたくさんいる。そこで、仕事が見つかるまで、絶えずコース変更をすることになる。現在、「ちょっとでも合わないことがあるとすぐに仕事をやめる」、「自分が思っていたことと違うとすぐに仕事をやめる」といった早期離職現象がたびたび社会で議論の的になる。
北京大学の靳戈研究員は、「若者層の早期離職現象の背後には、社会的環境の変化がある。新興業界がもたらす『富を築く神話』が若者層にどうすれば速く所得を増やせるのかとの焦りと不安を与えている。996(午前9時から午後9時まで週に6日間働く勤務形態)をはじめとする労働モデルも、若者に仕事をめぐるさらに大きなストレスをもたらす。同時に、社会では職業選択の機会が豊富になり多様化し、このことも早期離職現象を後押しする」としている。
しかし、早期離職という現象が若者層に頻発することには、潜在的なリスクと危険性があるとみる専門家もいる。
中国社会科学院大学経済学院の黄敬宝教授は、「理性に基づく辞職や転職は仕事の技能や環境適応力を高めることができ、人的資本の投資の一形態となり、若者のキャリア発展にプラスになる。しかし早期離職現象では在職期間が短く頻繁に辞職するケースが多く、感情や一時的な衝動によるケースもさらに多く、仕事の経験を積み人的資本を蓄積する上でマイナスになる。軽率に仕事を辞めて、次の仕事が見つからなければ、失業の大きなリスクに直面し、収入源や生活の保障を失う可能性がある」と指摘した。
専門家は次のように提案した。若者が自分の意思で自由に選択をするのはよいことではあるが、心身の調整を積極的に行い、職場に主体的に適応するよう努力することも必要だ。現代の若者は仕事でぶつかるプレッシャーや問題点に対処するべく努力し、仕事で出会う可能性のある挫折についてよく理解し、「逃げる」ことを選ぶだけでなく、仕事の中でのセルフコンシステント(自己無撞着)を実現するよう努力するべきだ。辞職してもいいが、よく考えてからでなければならない。一時的な衝動で辞職してはいけない。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年2月2日