「スマホアプリ恐怖症」で「デジタルミニマリズム」を試す若者たち (2)

人民網日本語版 2021年09月18日15:56

「シニア向けのようなシンプルな携帯電話に戻す」ことを提案する人もいた。そこで8月20日、鍾さんはほぼ電話とショートメッセージのやり取りしかできない携帯電話を購入。鍾さんが気に入ったのは、まさにアプリを何もインストールできない点だった。

SNSで自分を見失わないために

鍾さんはある週末の時間を使って、「デジタルミニマリズム」という本と、関連論文を何本か読んだ。今、鍾さんは特に心がけてスマホを使う時間を減らしている。微信は時間帯を決めてチェックするようにし、通常は昼食後と夕方退勤する前に集中的に返信。モーメンツは1日1回まとめてチェックし、友人とオフラインで会う機会を増やした。

こうした変化は些細なことに思えるかもしれない。しかし鍾さんは、生活をしっかりコントロールできているという感覚が少しずつ戻ってきたと感じている。鍾さんは、デジタルミニマリズムでそぎ落とすのは雑多な情報であり、「最終的には心の自由を取り戻せる」と確信している。

武漢大学新聞(ジャーナリズム)・伝播学院の洪傑文教授は、「現在、一部の若者がスマホの使用時間を減らしたり、SNSメディアをやめたりしているのは、彼らの『自覚的な気づき』を示している。彼らはSNSアプリがユーザーから何を奪っているのか、デジタル時代にどのように自分と向き合い、技術とどのように共存していくのかといったことを考え始めている」との見方を示す。

洪教授によると、社交的欲求は生理的欲求と安全欲求に次ぐ強い欲求だ。19世紀末から20世紀初めにはすでに、米国で技術がもたらすマイナス面の影響を批判する「反技術主義」の動きが起こった。現在であっても、スマホや微信を使わない学者が一部いるが、それは電子製品に邪魔されることを避け、手元にある仕事に集中するためだという。

現在、一部の人がアプリの通知機能を切ったり、特定の時間帯やシーンではスマホを見ないという決まりを自分に課したり、さらにはSNSアプリのアンインストールやアカウント削除をしたりするのは、いずれも「SNS疲れ」の表れだ。

「SNSメディアの使用を自制することは、実のところテクノロジーと一定の距離を取って自由になることでもある。積極的に自分を調整し、バランスを取り戻して初めて、自分を簡単に見失わないようになる」。洪教授が率いるチームが行った調査によると、調査対象者の一部は、微信のモーメンツへのアップを減らした後、最初は旺盛な表現欲求を満たせないことに適応できずにいた。しかし、適応した後は、SNSツールを使うことが減ると、個人の幸福感や社会的な付き合い、仕事や勉強に打ち込む度合いなどの面で明らかにプラスの効果があり、生活の質が上がったと感じていた。(編集AK)

「人民網日本語版」2021年9月18日

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