音楽とはまったく無縁の中古品取引プラットフォームの閑魚に、最近ますます多くの音楽関係者が出品するようになった。専門的な音楽大学に在籍する学生、長らくBGMを手がけてきた音楽関係者、プロとして歌を売る音楽愛好家など、さまざまな人が閑魚で歌を売っている。このやり方で食べていけるのだろうか。
音楽の収入ゼロが52% 音楽関係者は閑魚で「歌売ります」
国際レコード産業連盟(IFPI)が3月22日に発表した「世界音楽レポート2022」によると、22年世界10大音楽市場で中国は6位になり、韓国を抜いた。中国の音楽制作額は10年前の100万ドル(1ドルは約123.9円)から現在は10億5900万ドルに拡大し、世界で6番目の音楽市場になり、この間の増加率は30.4%だった。うちストリーミングメディアはすでに米国と英国に次ぐ世界3位となっている。しかし音楽関係者の52%は音楽による収入がなく、24%は音楽による収入は総収入の5%以内にとどまるという。
そこで音楽と縁のなさそうな中古品取引プラットフォームの閑魚で、音楽関係の出品をする人がますます増えている。閑魚を見ると、大勢の音楽制作者が低価格やスピーディさをアピールして歌を売り、中には「399元(1元は約19.5円)で詞・曲込み、著作権もつけます」という人もいる。
閑魚で歌を買う人はさまざまだ。学期末の課題を完成させるために歌を買う学生、恋愛中または別れを迎えて恋人に歌を贈りたい若者、芸能プロダクションやマルチチャンネルネットワーク(MCN)、歌の売買を仲介してマージンを取る仲介機関などがいる。閑魚で歌を売る「一往琴深」さんは、「閑魚の買い手のほとんどは自分が楽しむため、夢を叶えるために歌を買う。前に若いガン患者から同じように病気と闘う友人を励ますための曲作りを依頼されたこともある」と話した。
閑魚の歌を売る人は食べていけるのか?
「一往琴深」さんは星海音楽学院を卒業し、閑魚で歌を売るほか、映画音楽を作成し、最高で4万元稼いだこともあるが、今も閑魚への出品を続けている。「1ヶ月で大体30件くらい注文があり、お試し価格は1曲で360元、最高価格は同900元だ。閑魚の価格は一般的に安い」という。
閑魚で歌を売る大学生の「今天還要写歌」さんは、「これは副業だが、ここで歌を売って食べていければとても楽だ。1日で6千元の注文を受ける時もあり、自分でも自由で気楽なのがいいと思う。やる気があれば、お金は稼げる」と話した。別の音楽関係者は自分のスタジオがあり、より専門的で、歌詞を書くだけでなく、作曲や編曲、その後の録音とミックスなどのサービスも提供することができる。平均すると毎月、閑魚の買い手のために10曲から15曲の歌を作り、収入は大体1万元ほどになるという。
作詞家の火山さんは、閑魚に出品して2年ほどになり、これまでに100曲を超える歌を作ってきた。「1年半の収入は5けたほどで、食べていくのは難しい」という。音楽大学の卒業生や在校生の中には、歌だけでなく、音楽の理論や知識を教えるオンラインレッスンを売る人もいて、初心者におすすめの教材をアドバイスしたりしている。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年4月7日