初夏の5月、湖北省武漢市東湖景勝地を訪れたところ、6000平方メートルの芝生の上に、今にも泳ぎ出しそうなニシキゴイやリアルな楼閣・黄鶴楼が描かれていた。巨大なこれらの3D作品を目にして、今年1月にビジュアルコミュニケーション専攻を卒業した「95後」の女性・胡美婷さんは、「とても素敵だと思った。作品に魅了されて、その創作チーム『超級画咖』に加入することにした」と話す。新華社が報じた。
若いアーティストからなる「超級画咖」はこれまでに、武漢市で独特な雰囲気を備えたパブリックアート約1000作品を制作し、それを目にした多くの人がショート動画共有アプリ「抖音(TikTok)」などのSNSに投稿し、再生回数は数百万回に達している。
「超級画咖」が芝生に描いた3D作品。
2016年に湖北美術学院を卒業した張浩さんは、ある時偶然パブリック壁画に出会い、その表現スタイルに魅了されて、チームを立ち上げることを決意。プロフェッショナルな壁画やパブリックアートを通して、武漢市のシンボルを描くようになった。
チーム結成当初は様々な困難に直面したという。例えば、パブリック壁画はまだニッチだったため、壁が破壊されたりするのではないかと心配する人も多かった。また、パブリック壁画を描くためには、関係当局の許可が必要で、都市景観に影響が出ないようにしなければならないほか、時の試練にも耐え得る作品を制作し、できるだけ多くの人に気に入ってもらえるようにしなければならないからだ。
高さ60メートルのスナメリをテーマにした壁画。
2019年、「超級画咖」は、古い団地の住民棟の改修工事の機会を捉え、デザインの下絵を持参し、スナメリの絵を住民棟の壁に描くアイデアを提出。市民からの意見を公募したうえで、最終的に泳ぐスナメリが約200平方メートルの壁に描き出された。その後、スナメリをテーマにした壁画をいくつも手掛けるようになり、中には高さ60メートルの作品もあるという。「やさしく微笑むスナメリは多くの人に愛されている。僕は長江の近くで育った。スナメリを描くというの、野生動物や長江の生態系保護という理念を伝えるためでもある」と張さん。
作品の数が増え、そのクオリティも向上していくにつれて、「超級画咖」の知名度も高まり、多くの企業から提携のオファーが舞い込むようになったほか、一部の都市管理当局や事業者も喜んで場所を提供してくれるようになったという。
壁に絵を描く張浩さん(撮影・鄧楠)。
張さんは、「表現方法にはいろいろあるが、やっぱり武漢の特徴を盛り込み、それを見る人が武漢に行ってみたいと思うような作品を作りたい」とした。(編集KN)
「人民網日本語版」2022年5月7日