健康促進のために「水を1日2リットル飲むこと」は正しい?

人民網日本語版 2022年12月06日15:29

ネット上では「健康のために1日に8杯の水(約2リットル)を飲むと良い」という説をよく見かけるが、これには科学的根拠はあるのだろうか?11月25日に、国際学術誌「サイエンス」に掲載された研究は、ヒトの体における1日の水分の出入り(代謝回転量)の法則を導き出している。そして、飲む必要がある水の量に対する多くの人々の見方を覆す形となった。研究によると、「1日8杯の水」は、大部分の人にとっては必要とする量を上回っている可能性があるからだ。

同研究は、中国科学院深セン先進技術研究院医薬所や深セン理工大学(筹)薬学院科研チームが国際チーム約100チームと共同で、26ヶ国に住む生後8日の乳児から96歳の高齢者までの男女計5604人を対象に実施した。そして、ヒトの全ライフサイクルで体における水の代謝回転の法則を世界で初めて割り出した。

ヒトの生命維持には、水が必要不可欠だ。水の代謝回転量とは出入する水分を指し、人が必要な水の量をかなりの程度反映していると言える。

研究では、1日の水の代謝回転は、男性で20‐35歳平均4.2リットル、女性では30‐60歳で平均3.3リットル、そして、年齢が上がるにつれて、その量は減り、90歳代では男女ともに約2.5リットルまで下がっていた。

ただ、水の代謝回転量は飲む必要がある水の量と同じではない点には注意が必要だ。 例えば、20代男性の水の代謝回転量は4.2リットルであるものの、1日4.2リットルの水を飲む必要があるというわけではない。なぜなら、体内のエネルギー代謝の過程で産生される水が全体の約15%占めるほか、残りの85%のうち、半分を食物から、もう半分を飲む水で摂取することになるからだ。そのため、飲む必要がある水の量は1日1.5―1.8リットルということになる。

また、女性の非脂肪成分は男性より少ないため、女性が飲む必要がある水の量は男性よりも少なく、20代の場合、1日1.3‐1.4リットルが目安となるという。

研究者は、「研究結果から見て1日に8杯の水を飲むというのは、大部分の人にとっては多すぎる可能性がある」と指摘している。

また、研究では、成人に限って見ると、1日に体水分量の5%しか水の代謝回転が起こらない人がいる一方で、20%もの水の代謝回転が生じる人がおり、個人差がかなり大きいことも分かった。年齢や性別、住んでいる国などによっても、飲む必要がある水の量は異なる。そのため、一律に示された飲む必要がある水の量が、全ての人の健康に有益であるというわけではない。

また同研究の分析では、気温と湿度が高い場所や標高の高い地域で生活している人、アスリート、妊婦、授乳期の女性、激しい運動をする人などの水の代謝回転率が高かった。加えて、発展途上国や肉体労働の多い人は高い水の代謝回転率を示し、日常的にスポーツをすることも水の代謝回転率を高めていた。(編集KN)

「人民網日本語版」2022年12月6日

最新ニュース

注目フォトニュース

コメント

| おすすめ写真

ランキング

  • 全部
  • 経済
  • 社会
  • 政治