两会

とっさに言葉が出てこない?「語彙が乏しくなっている」とした回答者は7割以上

人民網日本語版 2023年03月10日10:33

「とっさに言葉が出てこない」と感じることはないだろうか。近年、「言葉が出てこない」時があり、結局はどんなケースにも使える「絶絶子(超すげぇ)」といった言葉で片づけているという人が増えている。このような現象に、全国政治協商会議の王燦龍委員が注目している。王委員はこの「とっさに言葉が出てこない」ケースを「文字失語症」という言葉で表しており、論理的な言葉で自分の考えを伝えることができない状態を指している。例えば、自分の考えを話す時に、「トホホ」、「ありえない」、「yyds(永遠の神様)」、「666 (ナイス) 」といったネット流行語ばかり使ったり、はっきりとした思考に基づき、論理的に、順序良く、明快な言葉で文章を書き表すことができなかったりする場合だ。深刻な場合には、文書のつじつまが合わず、何が言いたいのかさっぱり分からないというケースさえある。こうした現象が幅広く見られ、中国青年報のある調査では、回答者の76.5%が「語彙力がどんどん乏しくなっている」と感じていた。

語彙が豊かな中国語の世界で生活している中国人がなぜ、突然「失語」してしまっているのだろうか?「とっさに言葉が出てこない」という言葉に幅広い意味合いがあるのと同じく、その原因もさまざまで、元々、感情をうまく言葉で表現するのが苦手だったり、文書作成のスキルを磨く機会に恵まれなかった可能性もある。またインターネットの強い影響も見逃せない。便利で効率が高く、大衆化され、広く普及していて、ユーザーの制限がないインターネットの世界では、簡単で分かりやすいというのが、情報発信の鉄則となる。そのため、一連のネット用語は簡単でザックリしている。インターネット環境において、多くのネットユーザーはこうしたシンプルな単語の使用者にとどまらず、クリエイターにさえなっている。インターネットを利用する時間が長くなるほど、系統的に読書を楽しむ時間は少なくなりがちだ。また、インターネット上で使われている文字の使い方も、日常用語の使用への影響を避けられない。

どの時代にも流行語があり、「絶絶子」といった言葉を使うこと自体は、「正否」を語る対象ではなく、しかも長編の文章だからと言って、その言語能力を示すことができるとは限らない。中国の古典詩の世界では、その意味を感じ取れるが、言葉でははっきり表さないという一種の世界観がある。しかし、「文字失語症患者」の場合、「言葉ではっきり表さない」のではなく、自分の気持ちを表すための「言葉が出てこない」のであり、適切な言葉が見つからない、またはそれを見つける能力が無いのだ。こうした状態が長く続くと、言葉の魅力が低下し、中国語の奥深い意味合いが完全に薄れてしまうことになりかねない。

「文字失語症」の「症状」を改善するために、行動している人もいる。報道によると、その「症状」改善のために、あるオンラインプラットホームでは、約30万人が、書き言葉を使って「美しく文書」を書くスキルをアップするための努力を続けている。インターネットが原因で崩れたバランスをインターネットを使って取り戻すというのも、悪くない方法かもしれない。しかし、「文字失語症」の「症状」を完治させるためには、しっかりとした基礎が必要となる。

中国には「書を読みて万巻を破り、筆を下せば神有るが如し」という言葉がある。王委員が指摘しているように、インターネットの発展やスマートデバイスの普及により、客観的には、人々が言葉や文字を使う機会が大幅に増えたように見えるものの、読書にしろ作文にしろ、どれもがまとまっておらず、その断片化と電子化の問題が深刻だ。「文字失語症」の「症状」の改善には、インターネットに依存しないようにし、作文のスキルを強化しなければならない。

言葉というのは、友達と同じで、大切に扱わなければ、その関係は遠のいてしまうものだ。「絶絶子」といった表現方法が存在することに問題はないものの、新しい「語彙」という位置付けであるべきで、言葉が出てこないからしょうがなく使う言葉であってはならない。簡単な言葉を使うと、単刀直入に返答することができるものの、人の思考は豊富で、奥深く、積み重なっていくものだ。曲がりくねって奥深い思考という「森林」を、「絶絶子」という言葉だけでまとめてしまうというのは、とても残念なことだ。(編集KN)

「人民網日本語版」2023年3月10

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