アイアンマン3 「中国版」制作の意義とは?
近頃、「ハリウッド映画の撮影に中国人俳優が参加」などと、メディアによって大げさに書き立てられ、注目を集めていた映画が、いざ公開されてみると宣伝とは全く異なるという、奇妙な現象が起きている。「ハリウッド」というレッテルを張った宣伝は、映画PRの一つの手段になっているようだ。間もなく公開される「アイアンマン3」もそうだ。東方網が伝えた。
米国はアイアンマン3の中で、ヒーロー物の大作に近年来初めて中国の要素を取り入れた。中国版では、王学圻は映画全体で8−9言のセリフがあり、范冰冰(ファン・ビンビン)は短いが3言ほどのセリフがある。台湾東森テレビのウェブサイトは4月27日、「北米などの多くの地域で放映される『通常版』では、『梅蘭芳』や『十月囲城』などの作品で知られる、中国大陸の大物俳優の王学圻が演じる呉博士は数秒間しか出番がなく、セリフもニーハオだけで姿を消してしまう。ファン・ビンビンにいたっては、完全に姿を消してしまっている」と伝えた。ウォルト・ディズニー・ピクチャーズはこのほど、ファン・ビンビンの演じるキャラクターは、米国版には登場しないと表明していた。記者が試写会に足を運んだところ、ファン・ビンビンは登場しなかったばかりでなく、スタッフロールにも名前が記されておらず、最後の「特別感謝」のリストに名を連ねるだけだった。
アイアンマン3は特別に「中国版」を制作し、中国本土の実力派スターを招いた。その目的は、中国本土の巨大な映画市場であり、いわゆる「中国の要素」とはマーケティングの一つの手段にすぎない。ジェームズ・キャメロン監督は、身を持ってこれを理解している。「タイタニック(3D版)」は中国本土市場の2週目で2億7000万元(約43億2000万円)の興行収入を記録し、最終的な興行収入は7億3800万元(約118億300万円)に達した。この数値は米国本土の興行収入を上回ったばかりか、世界最高の興行収入となった。
ハリウッドは世界の映画にとってシンボル的な存在になっており、中国国内の映画関係者はオスカー像を崇拝している。中国の映画監督は最優秀外国語映画賞の受賞を目指して撮影しているが、張芸謀(チャン・イーモウ)、陳凱歌(チェン・カイコー)、馮小剛(フォン・シャオガン)らは失敗に終わっている。積極的な見方をすれば、ハリウッド作品の撮影に参加することは、映画強国から何かを学び取るためのチャンスであり、その目的は、中国映画の芸術水準の向上、中国人の好む映画の撮影、それによる世界映画界における発言権の獲得だ。中国はアイアンマン3の「中国の要素」を過大評価するべきではない。「脇役」でさえ宣伝の誇張に利用できるとするならば、これは中国産映画にとって喜ぶべきことだろうか、悲しむべきことだろうか?(編集YF)
「人民網日本語版」2013年5月6日