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フォーラムの様子 |
海外ドキュメンタリーのローカライゼーションについて話し合うフォーラムが8日、北京で開催された。フォーラムに出席した専門家たちは中国のドキュメンタリーについて、中身より見た目を重視する傾向や演出・宣伝の行き過ぎなどといった問題を指摘。一方、買い付けた海外のドキュメンタリー番組も「中国の風土や好みに合わない」という壁に直面しているとの見方を示した。実際、中国中央テレビ(CCTV)のドキュメンタリー番組「舌尖上的中国」(舌の上で味わう中国)が昨年5月に放送され、一躍中国でドキュメンタリーブームを引き起こしたが、これに続くドキュメンタリーは生まれていない。「北京青年報」が伝えた。
■思考の開拓は舌の上の感覚を味わうよりさらに重要
中国芸術研究院の崔文華研究員は「『舌の上で味わう中国』は確かに一時大変なブームを引き起こしたが、中国人はこの舌の上の感覚だけを味わいながら日々を過ごすべきではなく、現在のドキュメンタリーは中国人の思想の感度や、社会に関心を寄せる心の有り様などを育てるべきである。しかし、現時点で国内のドキュメンタリーはこの状況にはるかに及ばない。今後このまま行くと、中国人の思想の欠如がもたらされることになる。海外のドキュメンタリーを導入することは、思想の扉を開けるための効果的な方法だ」と指摘する。
■海外のドキュメンタリー 「現実」を実感することが難しい
現在の中国で放送されているドキュメンタリー番組の多くは簡単な翻訳の字幕を付けた後にオリジナルのまま放送されている。このような方式でのドキュメンタリー番組の放送は通常海外の主題や背景についての説明がなく、こういった情報の欠如が容易に中国の視聴者の理解の妨げとなっているだけでなく、時には誤った情報を与えてしまう。同時に、海外のドキュメンタリーの題材は通常外国人の視点や価値観から撮影や編集が行われているため、話題の展開や方向性が中国人視聴者の興味や関わりとの間に隔たりが生じている。
中国教育電視台のドキュメンタリー&解説番組「静観」のディレクター方静氏は「多くの中国人視聴者が見ることができる海外ドキュメンタリーは話題の出来事や社会問題について語っている部分が非常に少ない。これはとても残念なこと」と語る。
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