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資料写真:莫言氏と大江健三郎氏 |
また別の時、紅葉が舞う秋に神奈川県箱根町に行った時のこと。彼が窓を背に、「窓の外でトンボが逆立ちしている」と言うので、見てみると1匹だけではなく何匹ものトンボが本当に逆立ちしていた。「どうしてわかったのか?」と聞いてみると、彼は「トンボたちの声が俺には聞こえる」と答えた。彼はコロンビアの作家ガブリエル・ホセ・ガルシア=マルケスらの影響を受け、日常にあるものが日常にないものと融合した作品に対して使われる芸術表現技法「魔術的リアリズム」を使っていると言われるが、私は中国清代の短編小説集「聊齋志異」(りょうさいしい)など中国の民間の作品が彼に大きな影響を与えていると思う。私は莫氏の作品を通して、中国の民間にあるものを感じ取ることができる。彼が文学の光景を私に見せてくれる過程で、私は生き生きとした中国、我々の根のようなものを目にすることができ、西洋的なものは一切ないと感じる。
人民網:莫氏の作品をどう評価しているか?
毛教授:私は彼の小説の大ファン。私が莫氏の作品の主な翻訳者である吉田富夫氏を莫氏に紹介して以降、毎回吉田先生が彼の作品を翻訳し終わってから、日本語版と中国語版を比較している。中でも「檀香刑(2003年。日本語名、白檀の刑)」は、中国語版も日本語版も、本がぼろぼろになるまで読み、印もたくさん付けてある。現在、私の研究室に置いているのだが、学生がそれを見て驚いている。私が研究しているのは吉田氏の翻訳の技法。これは私の日本語創作にも大きな助けとなっている。私は都会で育ったため、莫氏が表現する田舎の感覚を想像することができない。私にとってそれはあこがれの世界。彼の奇想天外な発想に変わる作品は今のところなく、とても気に入っている。(編集KN)
「人民網日本語版」2012年11月23日
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毛丹青氏独占取材(1)莫言氏と大江健三郎氏の交流をプロデュース
毛丹青氏独占取材(3)莫言氏と日本人文学者の懸け橋
毛丹青氏独占取材(4)「日本を知るために力を尽くしてきた」
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