「日本企業の中国戦略」研究会、北京で開催
今後の中国市場と日本企業のマーケティング戦略について話し合う研究会(共催:中国社会科学院調査センター、一橋大学、北京和僑会日中未来ラボ、NCRC日中リサーチセンター)がこのほど、北京で開かれた。
今回のテーマは「これからの中国市場と日本企業のマーケティング戦略」。中日両国の大学・研究機関の学者と第一線で活躍する日本産業界の関係者が、日本企業の海外戦略のあり方、各市場の位置づけ、中国3-4線都市への市場開拓などをめぐり、さまざまな角度から議論を行った。
一橋大学大学院商学研究科の上原渉・准教授は「日本企業のグローバルマーケティングの構造的問題点」をテーマに発表。戦略・組織・人材の3つの面から、海外市場でのブランド力の構築や本社と海外支社の関係処理、海外市場における段階ごとの戦略などについて、研究成果を交えて日本企業に説明、日本企業に有益な示唆を提供した。
中でも▽日米欧など成熟した市場で培ったノウハウを新興市場に生かし、新興市場を成熟した市場へと育てる▽現地のニーズに見合った製品を開発し、現地の購買力に見合った価格設定を行い、ブランド構築を進める▽日本本社と海外支社の間にスムーズな情報共有メカニズムを構築し、相互信頼の関係を築く---などの提案が注目を集めた。
同じく一橋大学大学院商学研究科の鷲田祐一准教授は「グローバル・マーケティングの中での日本企業の中国戦略」をテーマに、グローバル戦略の視点から、日本企業がいかに成熟した市場と新興市場に対し位置づけを行うかについて説明。中国、インド、東南アジア諸国連合(ASEAN)、北米などの市場に着目し、こうした地域の位置づけや市場化に関する認識をまとめると同時に、日本企業が講じるべき戦略を地域別に総括・比較した。
日本企業の中国戦略について、鷲田准教授は中国市場の特殊性を踏まえ、高度成長期の中国市場にふさわしい差別化のブランド戦略を策定する必要性を指摘。同時に、中国で独自に生み出されたノウハウを本社に吸い上げてASEANやインドなどの新興市場にも波及させることを提案した。
このほか、北京世研伝媒広告有限公司(CRC)の安田玲美総経理と株式会社日本リサーチセンター(NRC)の本坊七海氏はともに、中国3-4線都市における市場展開について報告を行った。「数の多い3-4線都市は日本企業にとってチャンス」とし、新興市場中の新興市場と位置づける必要性を指摘。市場を細分化し、地域ごとに新たな商業モデルを定めるよう提案した。(編集YT)
「人民網日本語版」2013年3月11日