厳冬の中日関係 日本企業は「越冬」を切望
ドラッグストアや家電量販店など多くの商店がしのぎを削る東京都新宿。しかしここ数カ月、「大口顧客」であった中国人旅行客がぱたりと姿を消した。年初には好調な回復ぶりを見せていた日本経済だが、中日関係の冷え込みを受け下半期に急ブレーキがかかった。その影響は旅行業だけでなく、貿易など経済の主要分野にも波及している。中国紙「大公報」が伝えた。
日本経済がなかなか不振から立ち直れない中、自民党の安倍晋三総裁は選挙の際、より積極的な通貨・財政政策をとる方針を繰り返し表明した。具体的には日本銀行に対し、思い切った量的緩和を実施し、短期的なインフレ率を1%から2、3%に引き上げることを提案している。しかし、分析によると、国債が膨れ上がる中、人口高齢化や出産率低下の理由から、安倍政権が財政の再建を進める道は険しく、社会保険料の支出が絶え間なく増加するなど公共費用の支出増加の問題に直面せざる負えない。
日本企業界がより心配しているのは、中国での日本製品不買の動きが日本の自動車や電子製品の中国輸出に大きな打撃を与え、原材料を提供するサプライヤーにまで影響が及んでいる点だ。中国での経営業績が振るわない現状について、パナソニック株式会社コーポレートR&D戦略室・技術戦略グループの松本幸則参事は「日中両国の政治的な緊張がもたらした経済的圧力を感じている」と率直に認めながらも、「中国は日本企業の海外における重要市場であり、一部企業の中国から工場を撤退するなどの行動はあくまでも経営戦略方針の調整でしかない」と強調した。
両国の関係改善を求めているのは、パナソニックのような大企業だけではない。石巻魚市場(宮城県石巻市)の須能邦雄社長は「原発事故に伴う風評被害で、地元産業の柱である水産物の中国・アジア向け輸出が大幅に減少した。これに日中関係の緊迫化が追い打ちをかけ、現在の輸出はゼロに近い」と語った。須能氏は「両国のトップレベルで合意ができれば、輸出が増えるだけでなく、商品の価格が上がり、漁業関係者の収入増にもつながる」と熱を込める。現地の水産物価格は昨年に比べ約3割落ち込み、漁業関係者の生活水準も同時に低下したという。
株式会社舞台ファーム(宮城県仙台市)の針生信夫社長は、「釣魚島(日本名・尖閣諸島)」問題は経済問題と分けて考えるべきだと主張する。中日韓3カ国の自由貿易協定(FTA)については、「中国の巨大消費市場は日本の産業界にとっての好機。農産物を例に挙げると、日本は中国の富裕層に向けた高品質の食材輸出に狙いを定める一方、中国でも日本の先進的な作物育種技術を必要としている。何より、中国の安い農産物は低迷する経済環境の中で生活する日本人にとってはありがたい存在」と熱く語った。(編集MZ)
「人民網日本語版」2012年12月26日