108人の在中日本人「それでも中国に住む理由」を語る(2) (2)
◆部下が反日デモに参加
自社の従業員が反日デモの仲間入りをしたことは、日本企業の経営者として辛いことだ。山本さんは、「昨年9月のある日、私は取引先を回った際に、亮馬橋付近の日本大使館を通りかかり、ちょうどデモの場面に遭遇した。大使館に近づくと、皆が大使館の壁に向かって物を投げているのを目にし、さすがに辛い思いをした。なんと言っても私も日本人だからだ。私の会社の中国人の同僚も、同日午後にデモに参加し、私ともう一人の日本人だけが残された」と話した。
青島イオン経営企画室長の小野宏志さんは中国で6年間生活しており、本書の中で破壊に遭ったスーパーの再オープンをテーマに、当時起こったすべてのことを記録した。小野さんは山東省青島市でイオングループのスーパーを4店舗経営しており、昨年の同時期に一定の被害を受けた。2012年9月15日に本社から、すべての日本人社員に自宅待機させるよう指示が飛んだ。多くの中国人社員は家族や友人から、「日系企業で働くな、辞めてしまえ」と言われたという。スーパーが再オープンしたのは2週間後になってからだ。