メルケル首相の対中外交は欧州にとって教訓
昨日行われたドイツ議会選挙は与党のキリスト教民主・社会同盟が第1党の座を守り、メルケル首相が続投する見込みとなった。メルケル首相が3選されれば、長期政権となる。(環球時報社説)
メルケル首相は2005年に就任。2007年にダライ(ダライ・ラマ14世)と会見して、欧州の対中価値観外交を代表する人物となった。このために中独関係は一度緊張し、経済協力にも波及した。だがメルケル首相は速やかに立て直しを図り、欧州・中国関係を安定的に発展させ、価値観の溝を乗り越えて双方協力を推進する代表的なリーダーとなった。メルケル首相はこの何年かで対中関係の戦略的位置づけの大転換を完了して、欧州全体に再考の機会と経験を提供した。
現在、中独両国の価値観の溝は以前のままだが、ドイツの中国に対する戦略的認識および中独関係の利益に対する評価はより冷静で、成熟したものへと向かっている。ここ数年で中独双方は経済協力の潜在力を大量に解き放った。それがこれほど本物で、引きつける力を備えていることは、価値観が全てに取って代わる外交的衝動の幼稚さをはっきりと示した。
ドイツは典型的な欧州の大国だ。そして欧州の大国と中国との実益関係はかなり近い。中独関係は中米関係のように大国間の競争という自然な複雑性がないし、中日両国のように近すぎるために多くの事でもつれ合い、どんな実力の変化も相互関係の心理的変化を触発するということがない。中独は双方が共に望みさえすれば、両国関係を比較的「クリーン」にし、二次的なイデオロギーまたは政治的主張に乗っ取られないようにすることができる。
欧州は元々、価値観至上主義の発祥地であり、北米よりも熱の入ったイデオロギーの小サークル、小環境が存在する。重要なのは欧州の大国の政府はそれらに振り回され、一部の者の嗜好や主張を国全体の対中外交、政治路線にまで拡大させるわけにはいかないということだ。