「平和の衣」を脱ぎ去ろうとする日本に警戒すべき (2)
■日本の民族主義ムードの助けを借りて中国を封じ込める米国の手法は一文惜しみの百失い
中国社会科学院日本研究所政治室の呉懐中主任は北京で取材に応じた際「スナイダー氏の論文は現在の日本政治の方向に対してはっきりとした認識を持っている」とする一方で、「スナイダー氏の対日認識はまだ米国政界のメインストリームにはなっていない。米政府は中国の台頭に対する懸念が日本に対する防備心を上回っている」と指摘した。
かつて米カーター政権で上級顧問を務めたジョージ・ワシントン大学のアミタイ・エツィオーニ教授はドイツ出身のユダヤ人で、ナチスの迫害を身をもって経験した。エツィオーニ氏は「日本は『アジアのドイツ』の方向へ発展せず、逆行している。こうした状況の下でアジアで重要な役割を発揮するよう米国が日本を後押しするのは『愚かな政策』だ」と述べた。
エツィオーニ氏は「米国の中国封じ込め努力の中心に日本を置くのは魅力的な考えだ。米国が予算を削減しつつ、台頭を続ける中国を封じ込めるには、アジアの重要な同盟国である日本を一層信頼し、重んじる必要があるからだ。実はたとえ米国の後押しがなくても、日本はまさに急先鋒の役割を演じつつある。中国の『脅威』を感じた日本は、第2次大戦後に羽織った平和の衣を脱ぎ去ろうとしている」と指摘。「問題は、米国がより強く日本を引き寄せようとすると、中国の強力な反発を必ず招くということだ。日本の民族主義ムードの助けを借りて中国を封じ込める手法は一文惜しみの百失いだ。日本を後押しして中国に対抗する戦略は極めてコストが高い。中国はより挑発と受け止め、いくつかの国際問題で米国との協力を減らす可能性がある。ワシントンが日本の助けを借りて中国との『均衡』を図るのは、重荷を分担させるのが本来の意図だが、結果的により大きな重荷を担うことになる恐れがある」と述べた。
呉氏は「米国の対日政策には『譲れぬ一線がある』。つまり第2次大戦の成果、国際秩序を覆すことは許さず、日本が軍事的に完全に正常化することは認めないというものだ。これは核兵器の保有を認めないことに主に現れている。その一方で、現在米国は台頭する大国(中国)と守成する大国(米国)との間の摩擦が主たる摩擦であり、憲法改正や集団的自衛権といった日米間の摩擦は副次的なもので、副次的な摩擦は中国の台頭という主たる摩擦への対応に服すべきだと考えている。こうした認識の下、米国は日本に対する統制を緩めている。これは逆に米国が日本に利用される可能性を招いている」と指摘した。