シンガポール紙「中国人観光客は日本に戻って来るか?」 (2)
この投稿文の筆者は、中国人観光客誘致のために、▽政治情勢に左右される団体観光客ではなく、フリー旅行の中国人を顧客ターゲットとする▽母国の家族や友人知人に訪日旅行を薦めてもらうよう、中国人留学生向けに無料の観光ツアーを実施する▽領土問題や歴史問題が原因で中日両国に再びいざこざが起きた時、これらの留学生が、反日ムードを抑制する働きをしてくれる--の3点を提案した。すなわち、在日中国人留学生を極力活用するということだ。
この提案が実際に効果的かどうかは別として、北海道の広大なラベンダー畑や温泉宿、ストラスブールの古い建物やヨーロッパ風情に満ちた大通りなど、映画で見た素晴らしい景色を実際に自分の眼で見て、そこを散歩したいと誰もが思うであろう。歴史は歴史、別の事だ。
月日が経つにつれ、歴史の記憶はだんだんと薄れていくけれども、存在し続けることは確かなことだ。いつ「一触即発」するかは分からない。現在の中日関係について、緊迫化は「価値観・制度の違いまたは交流不足による」「領土問題と歴史問題を一緒にすべきではない」「親善は、政治とは無関係に行われるべきだ」といった意見が一部にある。しかし、上述の例からも分かるように、人々の記憶は消えることなく存在している。従って、「忘れる」のではなく、「まず、記憶を整理しはっきりさせる」必要がある。
ある在日朝鮮人が昨年9月末、ヨーロッパの和解に対する見方と同様な視点で書かれた文章を朝日新聞に投稿した。この文章では、「日本がかつて支配した旧満州には、至る所に、旧日本軍に対する抵抗運動の記念碑、犠牲者の墓、関連建築物がある。史実を若い世代に伝えることにおいて、日本はすべてを『反日教育』と見なしてそれを反対してきた。日本と周辺諸国の間には、共通した歴史認識がない。私は、このことが問題の根源であると改めて認識した」と記されていた。