靖国に火炎瓶の劉強被告、引き渡しめぐり韓国で審問
昨年12月26日に靖国神社に火焔瓶を投げたのに続き、今年1月に在韓国日本大使館に火焔瓶を投げて韓国で逮捕された中国人の劉強被告(懲役10カ月で服役中)。5月には日本が犯罪人引き渡し条約に基づき、身柄の引き渡しを求め、一方の中国政府は送還を求めている中、劉被告が「韓日犯罪人引き渡し条約」が規定する引き渡しの対象になるかどうかを探る2回目の審問が6日、韓国のソウル高等地方裁判所で行われた。中国紙「環球時報」が報じた。
同日の審問は主に、劉被告の弁護側が招いた漢陽大学(ソウル)の国際法の専門家・崔泰鉉氏が述べる「引き渡し拒否」の説目に注目が集まった。同審問に出席した何穎・中国駐韓国大使館総領事は取材に対して、「中国側は現在、同案件の進展に注目しており、適切に処理されると信じている」と語った。
同審問は同日現地時間午後午後3時半に開始。崔氏は裁判官に対して、国際的には、政治的、または人道主義的原因で引き渡しを拒否できる理論を、フランスやトルコ、ドイツ、スイスなどの関連の事例を引き合いに出しながら陳述。「靖国神社は一般住宅ではなく、首相を含む日本のさまざまな政治家が参拝を行っている神社。つまり、ある意味において国家所有の建築物と見なすことができる。中ではA級戦犯である軍人が祭神として祀られており、政治的意義を強く帯びている」と指摘。
「人道主義という角度から見れば、劉被告が行ったことからして、日本に引き渡されれば、迫害や不公正な裁判などを受ける可能性がある。そのため、引き渡すべきではない。韓国で現在のこれらに関連する法律や『韓日犯罪人引き渡し条約』の一部の条項を見ても、劉被告の引き渡しを拒否できる条件が整っている。もし、劉被告の日本への引き渡しを決める判決が出されれば、韓国政府が現在、靖国神社問題や慰安婦問題で表明している態度と矛盾する」(崔氏)