北京の大気、最悪の「厳重汚染」を週3日観測

6月30日、北京市街地では「厳重汚染」が観測された。西直門橋上を西環広場に向かって歩くマスクをした市民。

■ 主因は拡散しない汚染物質

　6月26日と28日に続き、30日も北京は深刻な大気汚染に見舞われた。北京市環境保護監測センターは30日午前10時ごろ、北京市内のPM2.5（微小粒子状物質）濃度が、6段階のうち最も深刻な6級「厳重汚染」に達し、1週間以内に3日も「厳重汚染」が観測された。新京報が報じた。

　専門家は、北京でこのところ深刻な大気汚染が頻繁に発生している主な要因として、汚染物質の排出のほか、汚染物質が他所に拡散していかないことが考えられると指摘した。

■ 専門家による疑問解明

　（１）なぜ深刻な汚染が頻繁に発生しているのか？

　北京大学環境科学工程学院の謝紹東教授は、「湿度が上昇して霧が発生することと、スモッグの発生とは、直接関係がない」との見方を示した。「深刻な大気汚染が頻繁に発生しているのは、有害物質の排出量が増えたことによる。汚染物質の排出が減少すれば、大気の質は改善する。個人的な感覚では、この2年、大気の質はますます深刻化していると思う。昨年の夏は、今年よりまだ良かった」と続けた。

　中国科学院大気物理研究所の王庚辰研究員は、「最近の大気汚染は、汚染物質が拡散しづらいことによる」と指摘。「最近、北京に暖気団が居座り続け、大気全体が安定した状態にあり、上下方向の対流活動が起きていない。このような気象条件の下では、排気ガスは拡散せず、大気中に排出された汚染物質はそっくりそのまま大気中に残る。これが、汚染物質が蓄積されるプロセスだ」と王研究員は説明した。

　王研究員は、「現在、汚染物質の排出はやや改善されつつある。しかし、照りつける太陽が、大気の質の改善を阻害している。風が無いと、汚染物質はまた増える」と続けた。

　（２）降雨の前に霧やスモッグは発生しやすいのか？

　北京ではこのところ連日の降雨に見舞われた。雨が降ると汚染物質の濃度は下がるが、2回の降雨の狭間では、濃度の上昇が見られた。王研究員によると、雨は汚染物質の現象に有利に働くが、より強い寒気団が南下して汚染物質が拡散する条件が整わなければ、汚染状況が本当に改善することは難しいという。

　王研究員は、「北京のPM2.5濃度は、冬・夏それぞれにピークがある。夏に大気汚染が発生する確率は、秋・冬に比べて低い。これは、夏には強い対流天気が発生しやすく、汚染物質が拡散しやすいことによる。しかし、時には、高湿・高温・静風・逆転層（高度とともに温度が上がっていく層）形成など、汚染物質の拡散に不利な条件が生じる場合もある」と語った。

　「湿度が上がると、霧が発生する可能性はあるが、スモッグが発生するとは限らない。スモッグが発生する背景には、汚染物質の排出のほか、特殊な気象条件も必要」と王研究員は指摘した。

　中国科学院大気物理研究所「大気中のスモッグ追跡」プロジェクトチームの王躍思研究員は、「地球温暖化という大きな流れの下で、今後の気象条件は全て、大気汚染物質の拡散に不利となる。大気中の汚染物質濃度を下げるには、汚染物質の排出を大幅に減らすしか方法はない。排出削減によって、ようやく本当の効果が現れる」との見方を示した。

■「湿気払い」ミニ知識

　長雨がしとしと降り続く天気は、北京では極めて珍しい。湿度がかなり上がることで、市民の不快指数は上昇し、息苦しさやめまい、さらには下痢・嘔吐、食欲不振に苦しむ人が続出している。このようなお天気が続く中、元気に過ごすには、「湿気払い」が重要な鍵となる。

　医師は、多湿の時には、緑茶や花茶をたくさん飲むよう提案している。また、カボチャ、ハト麦、緑豆、ニガウリなどさっぱりした食べ物を多く食べると良い。胃腸があまり強くない人は、炭酸飲料や冷たいビールは控え、身体を冷やす作用のある海鮮物を食べる時には生姜を添えると良い。（編集KM）

　「人民網日本語版」2013年7月1日