定年引き上げ問題、就職難が深刻化の声も (2)
多くの専門家は、「人口のメリットは中国経済の高度成長に重要な推進力を与えてきた。今や人口のメリットは失われ始めており、短期間内に就業・経済に与える影響は大きくないが、中国経済・社会の長期的な発展に深刻な負の影響を与えるだろう」と予想している。
◆就職難が深刻に
睿信致成管理コンサルティングの王丹青氏は、「定年退職年齢の調整は、一部の特殊業界の従業員の流出を考慮したものであり、また年金不足問題の緩和の必要性がある。年金不足は国家財政にとって深刻な負担だ」と分析した。
某大学の教授は、「中国の年金不足は定年引き上げによって解決できるものではない。中国は13億人の人口を抱えており、毎年の離退職者は少なく見積もっても約600万人に達する。定年を引き上げた場合、少なくとも600万人の適齢期の就業者の職を奪うことになる。これにより中国の雇用情勢がさらに深刻化するだろう。国家は創業による就業問題の解決を提唱しているが、定年引き上げが実施された場合、就業に一定の圧力を形成するだろう」と語った。
中国経済の成長率は低下を続けている。各研究機関は、GDP成長率が1ポイント低下するたびに、約100万人が失業すると見積もっている。中国経済の成長率は約10%から約7%に低下しており、毎年約300万人が失業する計算になる。経済成長率の低下と定年引き上げにより、毎年900万人が職を奪われることになる。
同教授は記者に対して、「財政資金による社会保障資金の埋め合わせが、年金不足問題にとって重要になる。中国の企業と就業者は世界トップクラスの社会保険料納付率を誇っているが、財政支出の支援不足により社会保障全体水準の向上が停滞しており、国有資産の割り当てが増加している。全国社会保障備蓄基金の拡大こそが解決の道だ」と主張した。