グローバル・ガバナンスにおける中国の転機
今年中国はグローバル・ガバナンスにおいてリーダーシップを獲得するための転機を得る。そしてこれは中国および全世界を大いに益するものだ。この転機を提供するのは2つのサミットだ。まず春の3月に南アフリカ・ダーバンで開かれた第5回BRICSサミット、次に秋の9月にロシア・サンクトペテルブルクで開かれる第8回G20サミットだ。(文:ジョン・カートン、カナダ・トロント大学BRICS研究センター長、G20研究センター長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
この両枠組みにおいて、中国は同様の地位を占める。中国は世界第2の実力を持つ大国であり、その影響力に肩を並べる国はわずかであり、その影響力を軽視できる国はないのだ。BRICSにおいて中国は「同輩のトップ」と言える。GDP、人口、外貨準備のいずれにおいても他の構成国よりも重要かつ大きな優勢にある。中国の力だけでBRICS開発銀行の壮大な将来性を確保できる。現在世界経済をコントロールする中心的存在である世界銀行は西側が操っているうえ、経費不足問題に直面している。このため中国はBRICS開発銀行とBRICSを先導して、世界銀行を閉鎖的、内向型で、加盟国のみが受益する組織から、外向型で途上国の発展の手助けに尽力する組織へと変えることができる。
中国の重要な地位は、ダーバンサミットが解決に尽力した肝要な問題でのリーダーシップにも現れている。これらの問題には通貨スワップ、金融セーフティネット、証券取引所の整理統合、BRICS構成国間の貿易決済通貨などでの新制度構築の推進が含まれる。また、貿易を促進し、麻薬その他違法物品の取引を取り締まるBRICS構成国間の税関協力も含まれる。
BRICSを指導して日増しに緊迫の度を強める安全保障問題を解決するうえでも、中国は同様にきわめて重要な役割を果たす。
大きな方向性から言って、中国はさらに重要なリーダーシップを発揮することが期待されている。BRICSも、さらに広範な世界もこの期待を寄せている。全世界は中国が第3回BRICS首脳会議を主催した際に示した強大な能力を覚えている。ダーバン首脳会議は中国の新指導部、特に習近平主席にとって重要な国際舞台デビューとなった。この新たな顔ぶれのもたらす新たな方法と理念が、BRICSと各国の直面する国際問題の将来の行方を決定づける。