ユニクロ「世界統一賃金構想」日本人には両刃の剣 (2)
同社はこれまで社内公用語を英語にしたり、海外で店舗3千店を開設するなどの壮大な計画をうち出したりしており、今度はさらに世界同一賃金構想をうち出した。業界関係者からみると、同社は近年、グローバル化に対応するために努力しているという。その背後にあってよりどころとなっているのは、海外市場開拓での好調な業績だ。同社が最近発表した半期の財務報告によると、昨年9月から今年2月までに、海外市場で目を見張る売上を達成し、売上高は前年同期比54%、営業利益は同39.8%、それぞれ増加した。このうち中国などのアジア諸国が最も売上に貢献したという。会社の業績の好調さにともない、柳井正社長の個人資産は155億ドルに達し、米経済誌「フォーブス」の長者番付では今年再び日本トップの座に着いた。
柳井社長はこのほど同紙の取材に応える中で、世界のどの場所であっても、同じ仕事をすれば同じ賃金がもらえるようにすべきだ。これが自分の出発点だと述べた。狙いは、高給によって新興市場を含む各国で優れた人材を確保し、海外業務をさらに拡大するところにある。経済グローバル化のプロセスの中で、国が変わると賃金がかなり低くなってしまうというのでは、世界規模での発展を考える企業にとっては非常に不合理だという。
▽「社内失業」がさらに悪化?
海外市場におけるユニクロの成功は、モデル転換中の日本企業に一つに道筋を指し示した。ビジネスアナリストの大元隆志氏の指摘によると、同社の世界同一賃金構想は企業の発展にとって合理的なものであり、日本企業がグローバル化の挑戦に対応する際の一つの手本になるという。
日本の東京大学の後藤則行教授は取材に応える中で次のように述べた。ユニクロの好調な業績はグローバル化という両刃の剣の影響を前にした日本の苦境を覆い隠している。新興国が日に日に世界の生産・商品の中心となり、日本企業はますます多く目を海外に向けるようになった。日本の伝統的な雇用モデルや経済成長モデルは課題に直面し、産業の空洞化が一層加速している。企業の国内での雇用力が低下し、国内の労働者をめぐる環境はより厳しさを増している。経済が低迷する中で正社員の待遇はますます低下し、多くの企業で「社内失業」の現象がみられ、社会問題になりつつある。