アジア開発銀 過去9人の総裁はすべて日本人
アジア開発銀行(ADB)は先月26日、日本銀行(中央銀行)総裁に就任した黒田東彦氏の後任に日本の中尾武彦前財務官(58)が選出されたことを明らかにした。中国や韓国を含む加盟67カ国・地域がすべて賛成票を投じたという。中尾新総裁は先月28日に就任し、これによりADBの歴代9人の総裁はすべて日本人が務めることになった。日本の共同通信社の論評によると、ADB総裁の職はアジア各国に極めて大きな影響力をもつもので、日本政府は日本が国際的な発言権を維持するために、黒田総裁の次も日本人総裁であることが必須だと考えていた。日本政府は早くから当時財務省の国際部門のトップを務め、アジア各国に幅広い人脈をもつ中尾氏を後継候補として推薦し、加盟国・地域の支持を得られるよう迅速に行動してきた。ADBが3月7日に新総裁候補者の受付をスタートすると、麻生太郎財務相はただちに米国財務省のジェイコブ・ルー長官と電話で会談し、中尾氏への支持を要請した。だがなぜADBの歴代総裁はすべて日本人なのだろうか。「環球時報」が伝えた。
規定によれば、ADBの総裁は加盟67カ国・地域の投票で決定され、各国・地域の投票権は出資比率に基づいて決められている。2011年末現在、日本と米国の出資比率はそれぞれ15.65%で、中国は6.46%だ。これは日本人が総裁になるのに有利な点だといえる。中国社会科学院世界経済・政治研究所グローバルマクロ経済研究室の劉仕国副主任も次のような見方を示す。ADBは株主制度を実施しており、日本は長期にわたりADBにとって最大の出資者であり、ADBの決まりに従えば総裁は日本人がなるのが妥当だった。これは世界銀行や国際通貨基金(IMF)と同じだ。ADBは日本と米国が主導して1666年に設立されたもので、本部はフィリピンの首都マニラにある。アジア・太平洋地域の48カ国・地域の域内メンバーと、欧州・北米地域の19カ国・地域の域外メンバーで構成されている。
劉副主任の説明によると、ADBの性質や主旨は世界銀行により近く、開発援助機関に属すものだ。一方、IMFは主に国際金融の調整機関だといえる。世界銀行は世界の発展途上国を対象とし、ADBはアジアの発展途上国を対象とする。ADBは中国でも支援プロジェクトを行っており、実施地域は中部・西部の経済が発達していない地域に集中し、主として現地でインフラ建設を行ったり、少額の融資を提供したりして、貧困扶助プロジェクトを支援している。これまで中国は最大の被支援国だったが、現在では経済が順調に発展し、被支援プロジェクトは減っている。現在、ADBの支援プロジェクトは東南アジア諸国に集中する。今後もADBの性質は変わらないとみられるが、株主制度のような統治機構は変化する可能性がある。中国とほかのアジア諸国が発展すれば、ADBでの影響力も徐々に高まるとみられる。中国は自身の能力の高まりに伴い、能力に見合った責任を引き受けるようになることが予想される。出資額が多くなれば、日本と同じように主導的役割を果たすことができるが、それがいつ実現するのか予測することは難しいという。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年5月6日